研究課題/領域番号 |
22K01115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
桑原 尚子 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (10611361)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | イスラーム法 / 立憲主義 / 法の担い手 / ポスト・コンフリクト / 近代立憲主義 / イラク / アフガニスタン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「国家、宗教共同体及び個人」並びに「国家、部族及び個人」という二つの視座を設定して、イラク及びアフガニスタンにおける法の担い手の西欧立憲主義の理解の仕方に焦点を当て、両国の新憲法起草や体制移行に係る法整備の「支援」側たる米国を中心とする外国勢力や国連とのせめぎ合いを通じて、イラク及びアフガニスタンの法の担い手が西欧立憲主義をどのように(再)移植し、イスラームを含む自国の法伝統と調和させるためにどのように変容させたかを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の核心的な学術的「問い」の一つは、憲法秩序が内包する「平等な市民と(宗教)共同体に属し不均等な諸権利を有する市民という相互に排他的な論理」についてどのように折り合いをつけているのかである。今年度は、憲法制定過程を題材に、立憲主義の下での憲法解釈の最終的権威に焦点を当て、「賢者としての裁判官」をキーワードに研究を進めた。 イラク戦争後の憲法起草過程からは、西欧起源の立憲主義を継受した憲法秩序の枠組み内で、いかにしてイスラーム的な統治の正統性を担保するかがイスラーム主義者にとっての主要課題であったことを確認できる 。イスラーム的な統治の正統性を担保する仕組みとしてイラクのシーア派イスラーム主義勢力は、イスラーム法源規定とこれに基づく違憲審査制だけでなく、イスラーム法に照らした合憲性が争われる訴訟においてはイスラーム法学者がこれを審査することを求めていた。もっとも、このようなイスラーム法学者による合憲性判断については、イラクだけでなく他国のイスラーム主義勢力もイスラーム的な統治の正統性を構成する要素の一つとみなし、スンナ派とシーア派という宗派の別なくその制度化を求める傾向にある 。 「イスラーム的な統治の正統性に関して最終的な憲法判断を行うのは誰か」という問題の論じられ方から導出される「賢者としての裁判官」像は、一部の国民に限って「賢者」と認識されうる裁判官である。そこにおいては裁判官が適用するルールよりも、裁判官の宗教的な属性が「賢者」を判断する際に重視されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
予定通りに遂行する。
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