研究課題/領域番号 |
22K01120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
松園 潤一朗 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (30588439)
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研究分担者 |
杉本 史子 (山田史子) 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10187669)
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本法制史 / 日本近世史 / 日本中世史 / 紛争と秩序 / 法・政治・経済 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中世・近世(中近世)の日本における法の構造や特質、ならびにそこで形成された様々な秩序の成り立ちを、法学や歴史学、経済学など様々な学問分野の知見を横断的に参照しながら明らかにすること、そして、個別の法・制度の分析に加え、中近世日本の法に関する議論の枠組みの全体を問い直すことを課題とする。 近代西欧の法は政治・経済などの社会制度や各種社会規範と峻別されて存立するが、そのような構造を持たない中近世日本の法と秩序について、紛争と裁判をめぐる問題を中心的なテーマとして研究を行う。政治史や経済史の観点をふまえて、政治や経済と分節されない法秩序の総体としての、中近世の法的世界を問い直す。
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研究実績の概要 |
日本中近世の法の持つ構造を多角的に考察するという本研究の課題に基づいて、2023年度は研究会と史料調査を中心に検討を行った。研究協力者として、2022年度に引き続き大平祐一氏にご参加いただいた。 研究会は3回開催した(第1・2回はオンライン。第3回は報告者は現地で対面参加し、オンラインを併用)。第1回(2023年7月)は中国史について、18世紀の重慶における商業界と秩序についての研究報告会を開催した。第2回(同年8月)は日本近世史について、権力の複合的な構成と「公」の認識について研究会を開催した。第3回(同年10月)は昨年度から引き続き、ドイツのマックス・プランク研究所法制史・法理(フランクフルト・アム・マイン)とのワークショップ(Japanese Legal History Workshop)として開催し、研究代表者の松園が“Ho(Law) and Ri (Reason) as Seen in Japanese Sources”との題目で報告と質疑応答を行った。前近代日本における法と理の観念を素材にして、日本と西欧の法概念の差異や、歴史的・地域的に多様性をもつ規範性(normativity)の総体的な認識という同研究所の研究課題をめぐって議論を行った。 また、史料調査も2022年度と同様に検討を深めた。2023年11月7日・8日に北海道立文書館にて第一次蝦夷地幕領期の行政・法制に関する基礎史料である『休明光記』写本ほか関係史料の撮影を行った。本調査により、これまで主に利用されてきた昭和初期の『新撰北海道史』の底本の全点の確認が完了し、その翻刻には底本の文字の取捨選択や底本の選択などに問題が内在することが判明した。これに加えて、『休明光記』の記事を側面から検証する史料として、伊能三郎右衛門家『旌門金鏡類録』の翻刻の作業も進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会を3回開催することができ、比較法史の方法論をはじめ、前近代日本における規範観念、中国史における商業と秩序、日本近世における「公」観念といった本研究課題にとって重要な論点について理解を深めることができた。 史料調査では『休明光記』の現在用いられている翻刻の全てについて写本からその性格を明らかにできた。 そして、研究代表者・研究分担者・研究協力者による中世・近世の法に関する書籍について、議論を行った上で原稿を作成し、2023年度末までに初校ゲラを仕上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も研究会と史料調査を継続する。 研究会は本研究課題の総括として、中近世の法をテーマにしたシンポジウムの開催を予定している。2022・2023年度に行った外国の研究機関との研究交流を2024年度も継続する予定である。 史料調査では、『休明光記』と『旌門金鏡類録』について調査結果をまとめ、後者については翻刻を進める。 本研究課題の成果の1つとして、上述の書籍を十分に調整を行った上で2024年度内に刊行することを目指したい。
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