研究課題/領域番号 |
22K01123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
大塚 浩 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30324958)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 社会運動 / 弁護士公益活動 / 弁護士 / 公益活動 / 司法制度改革 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、伝統的なプロボノに加えて、Cause Lawyering(弁護士の社会的関心に基づき、多くは無償ないし低廉な報酬で行われる活動として米国で概念化されている活動形態)や、会務活動など、「公益」という用語が包摂しうる広範かつ多様な活動全体を、弁護士の活動理念に係るこれまでの議論や欧米のプロフェッションの社会学の研究成果と関連付けて総合的に理解し、プロフェッション理論上一定の新しい知見と視点を獲得するため、社会調査(質問票調査および面接調査)を行う。
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研究実績の概要 |
当該年度においては、ポスト司法改革期の弁護士公益活動の概況を理解すべく、文献調査を継続することに加え、弁護士公益活動の現代的特徴があらわになって いる具体的領域として昨年来調査対象としている、消費者運動、被害者支援、LGBTQの権利運動のうち、とくに適格消費者団体をめざす消費者運動と被害者支援運動を主たる対象として参加観察的な調査を実施した。 そこでは、イデオロギーに導かれた従来型の運動から、むしろイデオロギーを超越し、政治的に多様な党派を結び付ける一種の公共空間としての社会運動が現出していると理解しうる兆候が表れているとの仮説的な分析が可能だと考えて昨年来分析の対象としてきた。 このような現代的な社会運動は、NPOなどの法人として、弁護士の公益活動の基盤を提供している傾向があるという観察をすでに得ているが、その点、各社会運動が基盤とする法人組織等が、それぞれ異なったパターンで弁護士活動の組織としての役割を果たしていることがさらに明確となってきている。 このような、異なった社会運動組織と弁護士の関係のパターンを生じさせるメカニズムが、ポスト司法改革時代の弁護士界の変化・変動とどのように関連しているのかは、今後の分析によってある程度明らかになるという見通しを得ている。 6年度以降の研究においては、弁護士界の階層分化や多様化といった、ポスト司法改革期以降に生じていると想定されている傾向が、社会運動の組織や活動、理念のあり方とどのように関連し、そしてまた、公益活動組織としての社会運動というアプローチにどのような展望が描けるかを具体的に示すことができるような調査・研究を引き続き着実に実施していくこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の調査による理論枠組みの精錬と観察調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
社会運動組織と弁護士の関係に多様なパターンがありうることがこれまでの調査研究で明らかとなりつつある。そのため、社会運動の法戦略に弁護士がどのようにかかわるか、また、社会運動が弁護士公益活動の組織的基盤を提供するものとして有望といえるのか、というリサーチクエッションに従い、これまで調査対象としてきた社会運動とは弁護士の関与のあり方という点で異なった側面を有しているように思われる対象を選択し、調査の幅を広げ、より一般化可能な知見を獲得すべく研究計画をブラッシュアップしつつ遂行することも想定している。他方、参加観察しうる程度まで運動に関与しえている従来の対象についても同様の比重でより深い知見を得るための調査を継続するべく積極的に運動実践に関与する方針である。
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