研究課題/領域番号 |
22K01135
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
野口 貴公美 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (40318598)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 行政法 / 行政の運営 / 行政の機能不全 / 行政通則法 / 行政の実効性の確保 / 行政法の執行 / 行政手法 / 行政手法の機能的分析 / 行政法関係の修復 / 行政法関係の継続 / 行政運営の改善 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、行政法体系の機能不全の問題について、「行政運営の改善という視角ー『修復』と『継続』という指標」から検討し、行政領域毎の法構造の特徴をふまえ、行政運営改善を志向する法体系(通則法構想)について検討することを目的とする。本研究は、行政法の適切な執行を、行政手法が融合体としてその機能を発揮している状態とみて、行政運営改善の問題として考察しようとするものである。現行制度における行政法執行の問題点の指摘と改善策の提言のみではなく、行政運営実施状況測定の指標として「修復」と「継続」という新しい指標を確立し、当該指標を機能させる行政運営改善の法体系とその法執行のあり方を提言することを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、行政法体系の機能不全の問題について、これまで継続的に検討対象としてきた消費者行政、公文書管理行政(を含む情報管理行政)、入管行政・警察行政(を含む安全安心の行政法)のそれぞれの領域、また、新たな領域として、行政運営改善の領域、行政の履行確保の領域について、主に、行政法執行状況調査及び既存研究分析を行い、行政法的検討課題を抽出する作業を行った。検討作業は、文献調査、資料収集、関係者からの意見収集を通して行い、これらの検討作業を積み重ねることにより、現行制度における行政法の執行の状況を把握し、行政運営の実情を踏まえた課題を抽出し、行政運営改善のあり方(課題問題及び課題解決の方向性、分析指標のあり方)について検討した。 2022年度中にとりまとめた研究成果(年度中に発表・公表したもの)は、以下の通り。 研究会・講演会等での研究発表として、「行政規則を巡る実務上の諸問題」(令和4年度行政基礎研究会・行政実務研究会、司法研修所、2022年09月28日)、「国の行政不服審査会からの報告」(第7回行政不服審査交流会、行政不服審査交流会、2022年12月12日)、「共生時代の出入国管理ー入管法の過去・現在・未来」(関西<知と業>のフロンティア、2023年02月24日)。 書籍・研究論文の公表として、「行政の実効性確保法制における『公表・その他手法』について」( 『行政法理論の基層と先端ー稲葉馨先生・亘理格先生古稀記念 』、信山社、2022年5月)、「法の執行における『基準』の活用可能性についてーストーカー規制法を素材として 」(法学新報、129巻6・7号、413-439頁、 2023年3月)、『行政法[第3版]』(共著)(有斐閣ストゥディア、有斐閣、2023年3月) 、『行政の実効性確保法制の整備に向けて 』(分担執筆)(民事法研究会、2023年3月) 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年夏までの計画遂行に差し障りはなかったが、2022年夏に、所属大学の副学長を命ぜられることとなり(2022年9月1日発令、任期2年)、9月からは教育研究の負担に加えて、大学執行部の業務が上乗せで重なる多忙状態に陥ることとなった。また、本務校の行政法教員体制の関係で、2022年の秋学期からは、学部演習(ゼミ)の指導学生数の増加、大学院研究指導の指導学生(院生)の増加があり、さらに、学内の行政法関連の教学業務が集中する状態となってしまった。(本研究の研究計画策定時には予想していなかった)以上のような業務の増加により、本研究に費やすべき時間や労力等の多くの部分を、上記の業務に費やさざるを得なくなった。 副学長就任に伴い、任期中は、平常時及び緊急時対応の必要から大学内(または大学に近い場所)に所在していなければならないこととなり、研究活動のための遠距離の移動(国内外への出張・調査)を計画することは著しく困難となっている。この状態は少なくとも任期中(2024年8月31日)までは継続する見込みであるため、当初計画していた研究方法の一部については変更せざるを得ないものと考えている。研究目的の達成のため、研究の内容・質についての維持確保のために研究「方法」を工夫し、本年度に発生した研究課題の進捗の遅延を解消できるような方策(場合によっては、研究期間の最終年度に、研究期間の延長申請についても、一つの選択肢として考えることも含めて)を講じていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度中に生じた研究課題の進捗の遅延を解消するための作業を遂行するのと同時に、当初予定していた2023年度分の研究を進行していけるよう、研究を進めていく。ただし、研究者の研究環境の変化(大学執行部への参画、所属校における行政法担当教員体制)に対応する必要から、研究「方法」の見直しは必須になる。 具体的に考えている研究「方法」の見直しは、以下の通り。遠距離移動や開催準備に時間をとられることが予想される(自らが企画・立案する)研究会方式ではなく、遠隔通信技術や電子媒体を活用したヒアリング・インタビュー方式の活用する。また、関連するテーマについて開催される勉強会や研究会に参加する。国内の実務(法執行状況)を把握するための実務状況調査の機会を増やしていく。情報収集や文献調査の方法等を駆使・充実させる。 さらに、当初は予定していなかった領域として、教育行政(高等教育行政)の領域を含めることについても検討していきたい。教育行政(高等教育行政)の執行も行政法執行の一つのモデルといえ、関係するアクターも、法体系において採用されている行政手法も豊富に存在している領域であり、さらに、「継続」しながら「変化(改革)」に対応していく必要が強く要請される領域であるといえ、本研究の研究テーマの考察において、貴重な研究対象になり得る要素を備えていると考える。2023年度中は、大学執行部の業務遂行のなかで接する、日本における教育領域の「行政法執行」のあり方に着目することにより、この領域について研究の対象を広げる可能性についても積極的に検討していくこととしたい。
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