研究課題/領域番号 |
22K01139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小林 直三 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (10585219)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 個人情報保護(法) / 最高裁第1小法廷令和5年3月9日判決 / 個人情報漏洩等に伴う損害賠償 / 個人情報の保護と利活用 / Society5.0 / 個人情報の保護 / 個人情報の利活用 / マイナンバー制度 / 損害賠償 / 憲法 / 人権 / データ・マイニング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Society5.0の構築に向けて生じる人権課題について研究するものである。 Society5.0の構築にあたっての中心的要素であるデータのサイバー空間への集積とその分析、特に行政等の公法領域におけるそれに焦点を当てた研究は、日本において、いまだ不十分だといえる。加えて、事後規制・事後救済となる損害賠償における賠償の考え方も十分ではない。 本研究は、米国のInformation Quality Actに可能性を見出しつつ、賠償のあり方も含めて、公法領域におけるデータのサイバー空間への集積とデータ分析に伴う人権課題という新たな問題に取り組むものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題の2年目は、Society5.0に伴うプライバシー権等の市民的自由と適正手続等の人権課題を判例その他の分析を通じて、研究内容を、より明確にし、セミナーを開催し成果および意見交換の機会を設ける予定となっていた。そのことを踏まえて、関西憲法判例研究会(於:京都大学吉田キャンパス、2023年5月22日)で「個人情報の保護と利活用」、地域デザイン学会の第4回合同フォーラム(於:東海大学湘南キャンパス、2023年6月17日)で基調報告として「地方自治と情報政策」、中部憲法判例研究会で「個人情報の保護に関する一考察」(於:zoom、2023年9月2日)、地域デザイン学会関東・東海地域部会第22回研究会(於:東海大学渋谷キャンパス、2023年11月25日)で「情報法制と地域政策」と題する研究報告を行い、研究成果を発表した。 研究成果の概要としては、住基ネットに関する最高裁判決といわゆるマイナンバー制度に関する最高裁判決を比較し、その相違点を指摘したうえで、個人情報漏洩等に伴う危険を考慮して、個人情報の扱いを制限したり、また、個人情報の漏洩等を防ぐ仕組みを構築する試みや努力を否定しないものの、個人情報の利活用も踏まえれば、むしろ、個人情報は漏洩するものであるとの認識をもち、漏洩した場合の損害賠償のあり方を重視すべきであることを示した。また、個人情報法保護法改正に伴う国の個人情報保護委員会と地方公共団体の審議会との関係に関して、情報法制分野におけるグローバルスタンダード化の影響によるナショナルスタンダード化の必要性に理解を示しつつも、過度の中央集権化による機能不全の懸念を指摘した。 こうした研究成果の内容(特に前半)は、現代社会における現実の個人情報の扱われ方を踏まえつつ、その保護と利活用のあり方を考えるにあたって重要なことであり、高い学術的・社会的意義があるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、Society5.0に伴うプライバシー権等の市民的自由と適正手続等の人権課題を判例その他の分析を通じて、研究内容を、より明確にし、セミナーを開催し成果および意見交換の機会を設ける予定となっていた。これらに関しては、セミナーの開催ではなかったものの、前述のように研究課題の研究成果の発表として、関西憲法判例研究会(於:京都大学吉田キャンパス、2023年5月22日)で「個人情報の保護と利活用」、地域デザイン学会の第4回合同フォーラム(於:東海大学湘南キャンパス、2023年6月17日)で「地方自治と情報政策」、中部憲法判例研究会で「個人情報の保護に関する一考察」(於:zoom、2023年9月2日)、地域デザイン学会関東・東海地域部会第22回研究会(於:東海大学渋谷キャンパス、2023年11月25日)で「情報法制と地域政策」と題する研究報告を行っており、研究会やフォーラムで成果の発表および意見交換の機会を設けることができたと考えれれ、順調に進めることができたと評価できると思われる。 ただし、1年目の研究成果を論文形式で発表する予定ができなかったため、2年目に行うつもりで、実際、「総合法政策研究会誌」に論文形式で公表する予定で投稿に必要な研究報告も経ていたものの、「総合法政策研究会誌」が休刊となり、論文の掲載ができないでいる。また、現状では「総合法政策研究会誌」の復刊の見込みもたっていないようである。加えて、2024年4月から所属機関の変更(大学の異動)したため、その前後における研究環境の整備のために、通常よりも研究を進め難い状況も生じ、研究が滞ったところも否定できない。 以上のことから、もともとの2年目の研究計画は概ね遂行できたものの、1年目にできなかった点を実現できず、やや研究が滞ったところも感じられることから、「やや遅れている」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
まず所属機関の変更(大学の異動)に伴う研究環境を充実させるべく、必要となる備品等をきちんと整えることで、「やや遅れている」進捗状況を促進する。また、Information Quality Actに関する研究も進めていく予定である。 研究計画では3年目にシンポジウムの開催および論文の発表を想定しているため、予定通り、シンポジウムを開催し、所属機関の紀要も含めて、論文形式で研究成果を公表したいと考えている。
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