研究課題/領域番号 |
22K01144
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
望月 穂貴 早稲田大学, 法学学術院, その他(招聘研究員) (90844126)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 緊急事態 / ポッセ・コミタタス / ポッセ・コミタタス法 / ミリシア / マーシャル・ロー / 憲法 / アメリカ憲法 / 国家緊急権 / 緊急事態法制 / 権力分立 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカ合衆国における国家緊急事態法制について検討する。とりわけ連邦議会による緊急事態の統制について検討していきたい。アメリカ合衆国はいま現在も複数の国家緊急事態が宣言されている。そうした豊富な実例の多くは、戦争等の重大な事態において発動されるという国家緊急権の教科書的な定義とは反対の事態である。緊急事態という名目で実際にどのような状況でどのような権限行使が行われているのかを検討し、アメリカ合衆国における国家緊急事態法制の意義を解明したい。
|
研究実績の概要 |
今年度は、前年度に研究したマーシャル・ローの法理にも関連している軍隊の法執行への投入に関して研究を行った。その中でもポッセ・コミタタスの概念に焦点を当てている。 古来イングランドにおいては、自由人は有事にミリシアに編制される一方、平時にはシェリフの指揮下で法執行活動をなす義務があった(ポッセ・コミタタス)。このような考え方を軍隊に当てはめ、軍隊も「市民」なのだから法執行活動に協力する義務があるという理論が18世紀までに成立した。 アメリカ合衆国においては、軍隊が広汎に法執行活動に投入されてきた歴史がある。一つには、逃亡奴隷法の執行のために上記のような理論を活用したということがある。他方、軍隊の法執行投入を抑制する法律として、「合衆国陸軍(Army)のいかなる部分についてもポッセ・コミタタスまたはその他として法執行の目的のために投入することは合法ではない。」と定める1878年のポッセ・コミタタス法が有名だが、この法律は南部の再建(リコンストラクション)に軍隊投入を禁ずるという意図で制定されており、実際問題としてはそれ以外に対する投入が阻まれるわけではなかった。 ただし、ポッセ・コミタタスの理論には「市民としての軍人」というべきコンセプトが付随しており、法執行上従うべき規範には当然軍人も従わなければならない。問題は、かつてはそうした法執行に対する規制が弱体であったことにある。 軍隊による法執行の概念は、緊急事態(主として反乱など)の考察として重要のみならず、海外における軍隊の治安活動等を考えるにあたっても重要になると考えられ、今後もさらに検討を行いたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要欄記載の通り、前年度の研究に関連するテーマを検討することができ、口頭報告のほか、論文の投稿も行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、緊急事態の議会統制に関する検討を前年度に引き続き行うほか、ポッセ・コミタタスの概念に関連するミリシア、特にアメリカ大統領のミリシア統制権についてさらに検討を行いたい。また、可能であれば州の緊急事態制度に関する検討も行いたい。
|