研究課題/領域番号 |
22K01149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 中村学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
橋本 一雄 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 准教授 (30455084)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 道徳教育 / 主権者教育 / 思想・良心の自由 / 公教育 / 近代公教育 / 教育の自由 / 公教育の中立性 / 国家の教育権能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、公教育として行われる道徳教育と子どもの思想・良心の自由との法的関係性について新たな理論的枠組みを提示することを目的とした研究である。日仏両国における子どもの思想・良心の自由に関する理論の比較研究を行い、公教育として行われる道徳教育の理論及び実践に関する調査結果と併せて分析する。このことにより、子どもの「思想・良心を形成する自由」の法理と道徳教育に関する新たな理論的枠組みを提示することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に引き続き、戦後の日本の道徳教育をめぐる資料・文献の収集にあたるとともに、渡仏して戦後のフランスにおける道徳教育をめぐる資料・文献の収集にも臨んだ。日仏両国の戦後の道徳教育に関する資料・文献を分析する過程で、戦後の日本においては、本来同じ方向性を志向することもありうる道徳教育と主権者教育とが、二項対立的に論じられてきた傾向があるのではないかとの仮説を立てることができた。すなわち、戦後の日本において、学校教育における道徳教育は、主に保守的な立場から積極的に強調されてきた傾向がある一方、主権者教育は、主として護憲的な立場からその重要性が指摘されてきたという特徴があり、それぞれを主張する両者の政治的な立場の違いとその影響力が道徳教育や主権者教育に関する理論の構築に一定程度影響を与えたものと考えられる。特に、戦後の日本における道徳教育に関する議論は、戦前への復古を警戒する文脈から、その法的正統性をめぐる理論が一定程度影響を受けている側面を実証的に捉えることができたものと考えている。2024年度は、戦後の日本の道徳教育をめぐる理論の状況について、フランスとの比較を通じて、その特質を明らかにする作業に取り組む予定である。 加えて、道徳教育をめぐる公法理論についても、日仏の比較法的観点からの研究に着手すべく、資料・文献の収集にあたってきたところである。日本の理論を分析するための資料・文献については概ね予定どおりに入手することができたが、フランスの理論を分析するためには資料・文献のさらなる拡充が必要な状況であり、この点は2024年度に継続して取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を進める過程で、戦後の日本の道徳教育をめぐる理論を整理するにあたり、主権者教育との関係に着目して分析を行うこととしたために研究の進捗が当初の予定よりやや遅れている。また、フランスの公法学に関する資料・文献の入手が当初の計画よりも捗らなかった。以上の理由から、研究の進捗状況はやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、今後、主に次の2点に焦点をあて研究を進める計画である。 1つは、戦後の日本における道徳教育と主権者教育がどのような関係性を持つものとして論じられてきたのかという点についての実証的な分析である。上述のとおり、戦後の日本では、道徳教育と主権者教育とは異なる性格のものとして捉えられてきた側面は否定できず、このことが道徳教育のみならず、主権者教育をめぐる公法理論の構築にも一定の影響を与えたものと考えられる。今後はその論証の作業に取り組む予定である。 2つには、道徳教育をめぐる日仏の公法理論の比較研究である。道徳教育をめぐる日本の先行研究を整理するとともに、フランスの理論状況を整理し、比較法的観点から分析を進める計画である。
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