研究課題/領域番号 |
22K01152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
伊藤 純子 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (00710740)
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研究分担者 |
MASLOW SEBASTIAN 仙台白百合女子大学, 人間学部, 講師 (10754658)
内藤 光博 専修大学, 法学部, 教授 (80207696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 戦後補償 / 記憶の法律 / 植民地支配 / 記憶 / 賠償 / 歴史 / 法 / 政治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランス・ドイツ・イタリアにおける戦争の記憶と戦後の補償を政治学的・法学的観点から考察する。戦後、独仏では旧植民地支配の被害者や、第二次大戦下のホロコーストの被害者等に対して金銭的な補償や賠償が行われてきた。この戦後補償の重要な一要素として、戦争の「記憶」を挙げることができるだろう。すなわち、過去を公共的な記憶として一般化し、「記憶」することもまた戦後補償の重要な側面だからである。したがって、本研究はそれらの歴史がどのように「記憶」され、法に規定されたのかを政治学・憲法学の観点から論究する。その際、ユダヤ人迫害と植民地支配を峻別した上でこれらの国々の戦後賠償・補償について研究を行う。
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研究実績の概要 |
研究代表者である伊藤純子は、「フランスにおける『記憶の法律』の現在」を憲法理論叢書30巻『次世代の課題と憲法学』161-175頁(2022年)に公表した。本稿では、フランスにおける「記憶の法律」の中でも、ゲソー法と呼ばれる法律を主に論じた。フランスでは、過去の被害者の経験を記憶することが戦争被害者に対する補償の1つであると考えられており、その中心となる概念が「集合的記憶」である。フランスにおいては「記憶の法律」は集合的記憶を目的として制定されており、「記憶の法律」の1つである「ゲソー法」は、刑事罰をも科すことにより、ヘイトスピーチ規制法の役割も担っている。ところが、これらの法律は「政府による歴史の公定」であり、歴史研究の自由や表現の自由を侵害するものであるという批判が歴史学者や憲法学者からなされている。したがって、本稿では「記憶の法律」をめぐるフランスの議論を紹介した。 研究分担者であるセバスティアン・マスローは、2022年2月27日に「1937国際的に読む世界から見た日本における加害の記憶」について明治大学駿河台キャンパスにて報告を行い、それに基づいて「ドイツの戦争体験から『1★9★3★7(イクミナ)』を読む」『文芸研究』150号39-50頁(2023年)を公表した。本稿においては、辺見庸の文学作品である『1★9★3★7(イクミナ)』を手がかりとして、ドイツの戦後補償と記憶、そしてウクライナ情勢をめぐるドイツの国際貢献の現状について論じた。 このように、2022年度は書籍出版の基となるドイツとフランスの戦後補償の問題について論文を公表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、伊藤は「フランスにおける『記憶の法律』の現在」を憲法理論叢書30巻『次世代の課題と憲法学』161-175頁(2022年)に公表することができ、マスローも「ドイツの戦争体験から『1★9★3★7(イクミナ)』を読む」『文芸研究』150号39-50頁(2023年)を公表することができた。 また、科研費の代表者と分担者3人で打ち合わせを行い、書籍出版の方向性を決めることができた。そのため、概ね計画通りに進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はドイツ、フランス、イタリアの戦後補償問題について法学および政治学的な観点から論じることを計画してきた。 しかし、上述したように本研究においては歴史学的な見地も大変重要であるため、2023年度は政治学者や法学者はもとより、歴史学者の見解を取り入れながら研究することの重要性を確認した。したがって、2023年度に研究会を開催し、政治学者や法学者のみならず、歴史学者にも参加してもらうことを予定している。 また、ドイツ、フランス、イタリアの3カ国の戦後補償問題を研究した上で、伊藤、内藤、マスローは、結論として日本の戦後補償問題を論じることの重要性を認識したため、まとめとして日本の戦後補償問題について論じることを計画している。
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