研究課題/領域番号 |
22K01155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 知更 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30292816)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 憲法 / 議会政 |
研究開始時の研究の概要 |
日本ではこれまで55年体制の克服が様々に議論され、憲法学でも統治構造論が重要な主題とされたが、現在改めて検証と再考を行うべき時期に逢着している。翻れば、戦間期における議会政の危機を乗り越えて第二次世界大戦後に安定した民主政の運営を実現した国々でも、近時の社会的条件の変化の中で新たな局面を迎える例も多い。本研究は国際比較の観点から日本の議院内閣制のうち現在どの部分が変革の必要性に直面しているかを憲法学的に考察する。
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研究実績の概要 |
第1に、第2次大戦後の議会政にとって重要な背景をなす戦間期の議会主義論に関する前年度からの研究を継続した。前年度末にケルゼンの議会主義論に関する論文をここまでの研究成果の一部として執筆したが、これに関する補充的な検討を続けた。また、近年ドイツでも研究が進んでいる、戦前の自由主義的な公法・政治思想に関して、先行業績のサーヴェイを含め更に検討を進めた。これは来年度以降の業績に反映される予定である。第2に、ドイツに関する限り、戦前と戦後の議会政を分ける重要な違いのひとつは憲法の役割の変化にあると思われるが、この変化をいかに理論的に説明するかにつき、法の外部参照という観点から試論的に整理を試みた論文「「政治」という他者―憲法から見た「法のミスコミュニケーション」」を執筆した(別掲)。ここでは、法理論の分野での議論を参照しつつ、ワイマール期から戦後への変化を考える上での新たな視角を設定することを試みており、これは本研究の全体にとって理論的な支柱のひとつになるものと思われる。第3に、この憲法の役割の変化について、日本憲法学史との関連から検討した論文「「政治」の現れる場所―芦部信喜の憲法制定権力論をめぐって」を執筆した(公刊は2024年度になる予定)。第4に、戦後ドイツの議会政について資料の収集など準備作業を進めた。本研究とは別の共同研究の枠組みでドイツに1ヶ月滞在して研究を進めた際に、クリストフ・シェーンベルガー教授と意見交換を行い、本研究に関しても有益な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツを中心に、本研究全体に関する理論的な諸問題について、検討と執筆・公表を進めており、この点では順調に進展していると評価しうるように思われる。他方、議会政に関する個別論点の検討など、いくつかの残された課題については、残りの研究期間で具体的な検討を行う予定であり、全体として見ればほぼ予定通りに進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、現在行っている理論レベルの検討を引き続き継続する予定である。とりわけ、2本の論文「「政治」という他者―憲法から見た「法のミスコミュニケーション」」と「「政治」の現れる場所―芦部信喜の憲法制定権力論をめぐって」で試論的に検討した憲法と政治の関係という主題について、続編となる論文を現在計画しており、この3本が今のところ本研究の主要成果になるものと考えている。第2に、議会に関するより具体的な個別論点を視野にドイツを中心とした比較研究の作業が課題として残されており、少しずつ研究の軸足をこの第2の点に移していくことを今のところ予定している。
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