研究課題/領域番号 |
22K01156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡 克彦 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (90281774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 市民的正義 / マイノリティ問題 / 司法積極主義 / 韓国法 / 司法の政治化 / マイノリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、訴訟主体たる市民団体と裁判所との相関性に依拠して韓国での「司法の政治化現象」を究明すると共に、相対立する裁判官の見解の差異から司法権限を踰越する規範的メカニズムを析出して、司法権の肥大化を実証的に解明する点にその目的がある。 そのねらいは、①なぜ、司法判断が政治的な要因に影響されるのか(司法の機能的要因)、②司法の違憲審査権が政治過程に及ぼし得る限界とはどこまでなのか(司法権の限界性)、③司法の役割として、最近、機能麻痺する「民主主義」を再生させる可能性があるのかの論点を検証するところにある(民主主義の再生可能性)。
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研究実績の概要 |
本年度は、主に韓国におけるマイノリティ問題を中心とした下級法院の動向について現地でフィールドワークを実施した。最上級法院たる「大法院」の判例に変更もたらすほどの下級法院からの一貫したマイノリティの人権を保護する判断を行った。本科研のテーマは、韓国の「司法の政治化」であるが、マイノリティに関する下級法院の判決が大法院での確定判例として定着するほどに、ボトムアップ的に司法の統一的な判断が形成されている。韓国における特異な司法現象である。 この動きは、司法のレベルに止まらない。司法の解釈基準が立法府たる国会の立法行為にまで影響を及ぼしたのである。下級法院を中心とした判例の形成がマイノリティに対する「法的基準」の成立にまで波及したのである。これが新たな「司法の政治化」といういわれる動きである。これについては、公刊論文として執筆の段階にある。今後、研究成果を公開する予定である。本年度は、そのほかに「司法の政治化」の動きとして、司法の「憲法適合的解釈」特に合憲補充解釈で一般法院が、違憲審査の対象となっている法律の内容を事実上、書き換えることを通じて「司法による立法作用」が営まれている実態とそれが生じる司法のメカニズムの解明に取り組んだ「マイノリティ問題に現れた韓国の『積極司法』と憲法適合的解釈のあり方-『良心的兵役拒否』・『トランスジェンダーによる性別変更』の事例を中心に」を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここ数年のコロナ禍で現地での調査が進まなかった。しかし、本年度は数回にわたって現地でのフィールドワークを実施し、計画予定の進捗の遅れを取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
韓国の市民団体での動きをフィールドワークで探っていく。司法が訴訟当事者による訴えの提起があって稼働する機関である以上、「司法の政治化」を探る上では訴訟主体側の主張および動向に対する調査は不可欠である。本研究課題の新たな観点から現地フィールドワークを実施する予定である。
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