研究課題/領域番号 |
22K01164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 響子 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (90880740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 外国人の人権 / 生存権 / ドイツ / 社会保障 / 公的扶助 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国内に滞在する全ての外国人に最低生活を保障し、さらに公的扶助給付の内容につき憲法による裁量統制を行っているドイツの分析を通じて、日本において外国人の生存権を保障するための、具体的な制度構築に資する議論の土台を、憲法上守られるべき最低ラインとともに提示するものである。また本研究は、困窮が出入国管理制度に与えうる影響を、ドイツの事例分析によって明らかにすることで、出入国管理行政における広範な裁量に対して、憲法による一定の枠付けを行う。これを行って初めて、実質的な権利保障を構想することが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、最低生活保障を求める憲法上の権利が有する規範的意義を、公的扶助と出入国管理という二つの分野の両面から明らかにすることである。 本研究は5か年にわたり行われる予定であるところ、一年目の2022年度においては、以下のような研究実施計画を立てていた。すなわち、【課題①外国人と国民、および外国人間の給付の差異づけの根拠と許容範囲を明らかにする。】として、【課題①-1】主に立法資料の分析を通じて、ドイツの公的扶助法において、外国人と内国民、そして外国人間において、給付の差異づけがどのように行われているか、および、差異づけの根拠とその正当性を検証する。さらに、【課題①-2】主にドイツ行政裁判所と社会裁判所の裁判例を分析対象として、(1)ドイツ人に対しては法的請求権として認められる扶助の一部が、外国人には権利ではなく行政裁量により認めるとした規定の運用実態、および(2)非正規滞在者や入管法上の義務の違反者に対する減額規定の解釈・運用を明らかにし、当時の学説に照らしつつ、差異づけについての憲法上の許容範囲を示す。 2022年度は、【課題①-1】および【課題①-2】について、それぞれ論文を執筆した。【課題①-2】にあたる部分の成果は、「『永住的でない』外国人の生活保護受給権―1980年代および1990年代のドイツを素材とした検討―」早稲田法学97巻4号(2022年)77-123頁としてすでに公刊されており、【課題①-1】にあたる部分の成果は、「ドイツにおける外国人の公的扶助給付の差異に対する憲法的統制の意義と限界─内外人平等と無保護のあいだ─」として、早稲田法学98巻3号(2023年)に公刊が予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した、年度ごとの研究計画を遂行することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当分は、交付申請書に記載した研究計画に沿って研究を進めていく予定である。それによれば、2023年度は【課題②滞在資格の付与・剥奪における生計確保要件の比重を明らかにする。】のうち、【課題②-1】として計画されている部分を取り扱う。すなわち、かつてのドイツ入管法上では、外国人の公的扶助受給は国外退去強制事由とされていた。ここでは、行政裁判所の判例を主たる素材として、退去強制処分の中で公的扶助の受給がどの程度の重みづけを与えられていたかを、公的扶助を受給しても国外退去の対象とならなかった事例を分析することで明らかにする。
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