研究課題/領域番号 |
22K01166
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小松 浩 立命館大学, 法学部, 教授 (40234877)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 議会制民主主義の劣化 / 選挙制度 / 抽選民主主義 / AI民主主義 / レファレンダム / ミュニシパリズム / 憲法 / 民主主義 / イギリス / 議会制民主主義 / ポピュリズム |
研究開始時の研究の概要 |
現代イギリスでは、レファレンダムが多用される傾向がある。EU離脱レファレンダムをめぐっては、日本においては、否定的評価が一般的であるといえよう。しかし、当のイギリスにおいては、もはや「レファレンダムはイギリス憲法の一部。重要な憲法問題においてはレファレンダムを回避することはできない」との評価が一般的で、EU離脱レファレンダムを受けて、より良いレファレンダムの実施を目指して制度改革が取り組まれている。本研究は、なぜ、近年のイギリスでレファレンダムが多用されるのか、その民主主義における位置づけ、制度改革の動向について検討し、日本におけるレファレンダムをめぐる議論の活性化に寄与することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
2023年度民主主義科学者協会学術総会における報告(「議会制民主主義の劣化と『対抗戦略』?」)準備に多くの研究時間を割いた。同報告は科研の研究テーマと密接にかかわるものである。 2023年の通常国会では重大法案が真っ当な審議もなくごり押しで成立するなど、議会制民主主義の劣化は甚だしい。その原因の一端は94年「政治改革」によって導入された小選挙区制にあり、「安倍一強」、「自民一強」となり、政治の私物化、堕落が生じた。さらに、新自由主義の席捲、インターネット、AIなどの発達によって世界的にも民主主義が劣化しているとも指摘される。日本においては、まずは小選挙区制の廃止が課題であるが、「その道筋が見えない」ともいえよう。この点については、カナダのブリティッシュ・コロンビア州の小選挙区制改革をめぐるレファレンダム、イギリスのAVレファレンダムについて紹介し、市民主導の改革の可能性を検討した。 次に、こうした議会制民主主義の劣化に対する「対抗戦略」として近時注目されている抽選民主主義について検討した。抽選民主主義には、イギリス「市民陪審」、ドイツ「計画細胞」などさまざまなものがある。抽選民主主義は、「国民の能力」論克服の可能性、国民による熟議の可能性がある一方で、権力の正統化の手続ではないという原理的問題、その他の実践的課題もある。 また、ミュニシパリズム(地域主権主義)、データベース・アルゴリズムに基づく一般意思の抽出を主張する無意識民主主義、AI民主主義についても検討を行った。 さらに、もう一つの「対抗戦略」として、レファレンダムを取り上げた。イギリスEUレファレンダムは「失敗」であったといわれるが、今やイギリスにおいて「レファレンダムは憲法の一部」であるといわれ、これを止めるという話はない。より「熟議的な」レファレンダムに向けた議論、制度設計が検討されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度民主主義科学者協会学術総会における報告(「議会制民主主義の劣化と『対抗戦略』?」)準備に多くの研究時間を割いたが、同報告は科研の研究テーマと密接にかかわるものであり、科研のテーマについての研究はおおむね順調に進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
イギリスや日本における議会制民主主義の現状、問題状況、レファレンダムなどの直接民主主義、選挙制度改革における市民参加の可能性、抽選民主主義などに関する文献を収集、購読し、これらの問題につきさらに思索を深める
|