研究課題/領域番号 |
22K01188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
本庄 淳志 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (90580978)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高年齢者雇用 / デジタルトランスフォーメーション / 労働者派遣 / 同一労働同一賃金 / 再雇用 / 非正規雇用 / 自営的就労 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,高年齢者の継続的な就業をめぐり,これまで,もっぱら各論的に問題となってきた法的諸問題を体系的に再整理・統合し,人事管理の面でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展,さらにはオランダ法およびドイツ法との比較法的な知見もふまえて,今後の高年齢者雇用政策のあり方を展望する。
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研究実績の概要 |
本研究では,いわゆるデジタルトランスフォーメーションが高年齢者の雇用管理の面で及ぼす影響に対象を絞り,(1)定年退職後の再雇用や雇用以外の就業機会の確保等の高年齢者雇用安定法上の諸施策のあり方と,(2)これらとは異なるルーツを持つ,いわゆる同一(価値)労働・同一賃金をめぐる近年の立法政策,(3)および,この両者も含めた高年齢者の雇用(雇用類似の就業を含む)に関連する裁判例の動向等を体系的に再整理したうえで,雇用・就業の側面における「生涯現役」をいかにして実現し,それを法的にサポートしていくべきかを検討対象としている。 研究2年目である2023年度には,主として(2)を対象として,これまでの裁判例や学説の動向について文献調査を中心に研究を進めてきた。特に,いわゆる同一(価値)労働・同一賃金をめぐる議論のうち本研究ときわめて強い関連性がある定年退職後の再雇用時の労働条件のあり方をめぐっては,新たに最高裁判決が登場するに至っている(名古屋自動車学校事件・最判令和5年7月20日)。同事件をめぐる学界,実務での評価や差戻審の内容は,現状を整理するうえでの最重要の検討課題であり,現在,それに着手している。 あわせて,特に定年延長ではなく,「再雇用」や「再就職」という手段により高年齢者の就労が継続する場合には,企業側の「採用」やその法的制約のあり方も同時に問題となる。そこで現在,近年の「採用」の多様化やそれにかかる法的問題の分析にも研究対象を広げている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年,人材ビジネスの世界では,デジタルトランスフォーメーションの影響が顕著に顕れており,一方で,本研究が主対象とする高年齢者雇用の領域では,相対的にみればデジタルトランスフォーメーションの影響はいまだ限定的な状況にある。 そこで2023年度には,前者の状況を分析・検討を進めるとともに,前述の同一(価値)労働・同一賃金に関わる新たな最高裁判決の分析・検討に重点を置いた。同最高裁判決は本研究の主対象である高年齢者雇用をめぐる実態および法制度をとりまく問題を直接対象とするものであり,その分析を通して研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年に成立したいわゆるフリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は,本研究の対象とする高年齢者の雇用政策のあり方とも密接な関係がある。 そこで2024年度には同法をめぐる議論をはじめ,国内外の最新動向に引き続き目を配りつつ,諸外国での規制の展開や議論動向をふまえ,日本の状況に適した法政策のあり方を展望する。
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