研究課題/領域番号 |
22K01190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
泉水 文雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50179363)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 独占禁止法 / 競争法 / デジタル市場 / プラットフォーム / 私的独占 / 企業結合規制 / 事前規制 / エンフォースメント |
研究開始時の研究の概要 |
デジタル市場における法規制のあり方を競争政策について検討し提案する。 第1に、私的独占・不公正な取引方法について、どのようなメカニズムで競争制限をもたらすかに関する理論(セオリーオブハーム)を構築する。 第2に、企業結合規制について比較法・経済学を含めた研究により明らかにする。 第3に、競争法を補完する法律や立法のあり方を検討する。 第4に、以上を統合し、競争法とその補完立法による単独行為・企業結合に対する適切な理論と事前規制・事後規制の方法を設計し、エンフォースメントを統合した包括的な規制方法を提案する。
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研究実績の概要 |
本課題では、デジタル市場における法規制のあり方を競争政策について検討をする。まず、単独行為(私的独占・不公正な取引方法)について、どのようなメカニズムで競争制限をもたらすかに関する理論(セオリーオブハーム)を解明し、それを踏まえて事前規制等の新たな規制方法に関する立法等を検討する。初年度である本年度は、上記行為の重要な行為類型について、セオリーオブハームの検討を行った。 第1に、企業結合規制について比較法・経済学を含めた研究によりセオリーオブハームと新たな規制手法のあり方を検討した。その検討を踏まえ、「デジタル市場の特性を踏まえた企業結合規制の検討」を完成させ、校正も終了している。そこでは、事前審査、事後審査、潜在的競争の排除に関するセオリーオブハーム等のあり方を示した。 第2に、不公正な取引方法についてのセオリーオブハームについて、優越的地位の濫用を検討した。とりわけ食べログ事件東京地裁判決に注目し、同判決が示す実体法上の要件の解釈等を検討し、基本的に適切とする一方で、行為者に利益を直接には与えないタイプの行為の規制のための理論およびその課題を明らかにした。 第3に、企業結合規制について比較法・経済学を含めた研究により明らかにしようとした。この点は、体系書『独占禁止法』(有斐閣)を公刊し、そこにおいて、企業結合規制におけるセオリーオブハームの現状を明らかにするとともに、検討すべき課題を示し、それを参照した研究者・実務家等と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デジタル市場における法規制のあり方について、とりわけ不公正な取引方法等の単独行為および企業結合規制について、その規制のためのセオリーオブハームの現状を明らかにするとともに、検討すべき課題が何であるか、そしてその検討すべき方向性を明らかにすることができた。これらは、体系書『独占禁止法』、法学教室で公表した。加えて、現在編著者として出版を進めている論文集およびそこでの論文「デジタル市場の特性を踏まえた企業結合規制の検討」として公表する直前にある。 また、内閣官房のデジタル市場会議の民間構成員として、デジタルプラットフォーム事業者のモバイルOS等における独占等とそれに対する新たな法規制(事前規制)について検討し、WGにも大部分に参加し、発言・提言を行った。 以上のように、研究期間の初年度においておおむね当初の計画どおり、研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2023年度)は、私的独占、不公正な取引方法および企業結合規制について、比較法研究を行ことにより、これらのセオリーオブハームのあり方を検討する予定であった。また、EUのデジタル市場法(DMA)等で取り入れられた事前規制等についてわが国におけるあり方の検討を進める予定であった。その際は、研究計画書記載のとおり、2023年4月からは私立大学に着任し研究を進める予定であった。 しかし、突如、2023年4月13日より、公正取引委員会の委員に就任することとなった。同委員は原則として兼職・兼業が禁止されているために、本研究課題としては継続することが困難となった。本研究の計画段階では想定していない事態になったが、同委員は、上記の研究対象を、法運用・立法を含めた実務面において対応するものということができ、想定外の事態ではあるが、上記の研究と実務とを活かし融合することにより本テーマの進行には中長期的に大きく貢献するものと考えられる。
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