研究課題/領域番号 |
22K01195
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菊池 馨実 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10261265)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 相談支援 / 重層的支援体制整備事業 / 社会保障法 / 包括的相談支援体制 / 地域共生社会 |
研究開始時の研究の概要 |
包括的支援体制整備に必要な諸条件の法的解明を、各自治体における相談支援地制の整備状況を踏まえつつ行うとともに、同体制整備のあり方についての法的解明を通じて、逆に自治体など行政実務に対し依るべきモデルを提示する、との2つの目標に向かって、自治体における重層的支援体制整備事業への取り組み状況の実地調査を、対面によるインタビューとZoomによる研究会開催を通じて行う。
|
研究実績の概要 |
当年度の取り組みとして、第1に、厚生労働省社会・援護局生活困窮者自立支援室の協力を得て、特徴的な取り組みを行っている自治体の実地調査を行った。愛知県東海市・岡崎市・豊田市(2022年6月)、三重県名張市・伊賀市・鳥羽市、東京都江戸川区(同年7月)、宮崎県三股町、福岡県大牟田市・久留米市・北九州市、埼玉県庁・同県鳩山町(同年8月)、埼玉県桶川市、香川県高松市・高知県高知市・愛媛県宇和島市(同年9月)、兵庫県加東市、神奈川県座間市(同年10月)、茨城県古河市(2023年2月)、福井県坂井市、大分県杵築市(同年3月)を訪問し、視察及びインタビューを行った。研究協力者の川久保寛氏には、北海道旭川市・鷹栖町(2022年8月)への取材を依頼した。 研究代表者の人脈や上記各自治体での取材、厚生労働省生活困窮者自立支援室の協力をもとに、重層支援研究会を立ち上げ、7月2日、8月27日、10月22日、12月10日、1月14日、3月4日にZoom開催した。上記自治体の重層事業の実施に関する実践報告のほか、千葉県松戸市・木更津市、岐阜県伊那市、岡山県倉敷市などの実践報告に加えて、毎回各界の有力研究者等による基調講演を行った(平野方昭日本福祉大学教授、猪飼周平一橋大学教授、原田正樹日本福祉大学教授、宮本太郎中央大学教授、石川賢司内閣府参事官、上山泰新潟大学教授)。また研究代表者が研究代表を務めた基盤研究(B)の下で著名なソーシャルワーカーである朝比奈ミカ氏とともに立ち上げた「がじゅまる研究会」を継続し、7月9日、9月10日、11月12日、2月4日にZoom開催した。同研究会では福祉現場の支援者の実践報告を中心に構成している。両研究会をいわば車の両輪として、包括的相談支援体制整備のあり方を設け、毎回30名から50名近くの参加者を得て、充実した議論を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度において、20以上の自治体を訪問し、包括的相談支援体制整備のあり方を視察したことで、今後の研究に向けた足掛かりを得ることができた。そこでの人脈をひとつの有力な手掛かりとして、重層支援研究会を立ち上げ、研究者のほか、厚生労働省・自治体関係者、社会福祉協議会・NPOなどの現場の支援者等からなる議論の場を設け、定着させることができた。 現場の状況把握にあたっては、当初、若手社会保障法研究者の助力を得ることを想定していたが、各研究者とも非常に多忙であったなどことから、研究代表者がほぼ1人で視察を行わざるを得なかった。また視察を重ねる中で、当初描いていた「包括的相談支援体制整備のあり方」にかかわるモデル化を図るという目的が、自治体ごとに地域資源があまりに異なることから、それほど実益が乏しいことに思い至った。また当初予定していた自治体へのアンケート調査も、厚生労働省ホームページで一定の参照が可能であることや、あくまで当該自治体の支援との兼ね合いで意味のある体制整備になり得ることなどから、それほど実益が大きくないという結論に達した。 その反面、重層支援研究会を立ち上げる中で、重層的支援体制整備事業に詳しい方々に運営等に積極的に協力をいただけることとなり、アドバイザリーボードを構成することができた(鏑木奈津子氏〔上智大学〕、西村淳氏〔神奈川県立保健福祉大学〕、清水修氏〔厚生労働省〕、安藤享氏〔豊田市役所〕、朝比奈ミカ氏〔ソーシャルワーカー〕、宮間恵美子氏〔ソーシャルワーカー〕)。
|
今後の研究の推進方策 |
上述のように、厚生労働省に集約された情報の活用により、自治体へのアンケート調査の必要性は高くないと考えられるため、本研究2年目の本年度にあっては、重層支援研究会及びがじゅまる研究会の継続的開催を主としながら、9月9日に早稲田大学にて公開研究会の開催(ハイブリッド方式)を予定するなど、各自治体関係者などに広く参加を呼びかけ、包括的支援体制整備に係る共同研究を深化させていく。その際、鏑木奈津子准教授とともに、本研究全体の成果物として、重層的支援体制整備事業のあり方についての本を出版する方向で、その具体化を図っていく。また併せて、引き続き全国の自治体の重層支援体制整備事業の実施状況につき視察を行っていく。
|