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雇用終了後の競業避止義務の実現手段に関する比較法的展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K01197
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05040:社会法学関連
研究機関常葉大学

研究代表者

植田 達  常葉大学, 法学部, 講師 (50835147)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード競業避止義務 / アメリカ労働法 / 権利救済論 / 職業選択の自由
研究開始時の研究の概要

本研究では、競業避止特約の有効要件および競業避止義務の実現手段に関する問題を分析し、日本のルールの精緻化または発展、法制化の可能性等の試論を展開する。未検討の問題として、労働者であっても退職後の義務に関する限りであれば賠償予定の合意は有効か、競業避止義務の違反から直ちに差止めが認められるか、などがある。このような問題を解決するため、本研究では、アメリカ法を中心とする比較法研究により、特約の効力のみならず、競業避止義務の実現手段の議論にも及びうる労使間の利益の緊張関係と、その調整方法を解明する。

研究実績の概要

本年度は、前年度に引き続き、主たる比較対象国であるアメリカ法の調査、分析を開始した。アメリカでは、近年は、2021年に模範法としての統一雇用競業避止特約法が統一州法委員全国会議(NCCUSL)により策定され、2024年にアメリカ連邦取引委員会により競業避止特約禁止規制が公表されるなど、連邦レベルで競業避止特約規制を統一する機運も高まりつつあるが、競業避止特約に関するルールは、州(法域)によって異なる。
その中でも本年度は、日本法とは異なり、制定法を設けて競業避止特約の効力とそれに基づく権利救済をコントロールするテキサス州法について検討を加えた。もともとは同州でも、日本法や既に前年度に研究したニューヨーク州と同様に判例法によって競業避止特約の効力を制限していたところ、同州の判例法を明確化すべく、州の制定法が定められた。ところが、制定法化に伴い、かつてよりも特約が有効となる範囲が州最高裁判所の判例により狭められ、それもまた変更されるなど、州最高裁判所による要件解釈をめぐる混乱も見られた。この点は、日本法における立法論としても、公序による特約の効力制限から特約の規制に合わせた制定法に移行するのであれば、その際には要件の定立のあり方に留意すべきことが窺える。また、有効な競業避止特約に基づく権利救済のあり方として、テキサス州の制定法でも、アメリカのほかの州と同じように競業避止特約を合理的な範囲・内容に縮減する手法が採用されているが、その場合の救済手段は、競業の差止めに限定し、損害賠償までは求めることができないと定めている。有効な特約に基づく権利救済の議論の集積が必ずしも十分でない日本法にとって、このような詳細な制度設計は示唆に富むものであることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初より、本年度は、前年度の研究成果を前提として、アメリカにおける州法での競業避止特約をめぐる法制度について、データベースを含む文献による調査と、その研究結果を随時発表することを予定しており、その計画の通りに、進捗している。

今後の研究の推進方策

本年度までの研究成果を踏まえ、引き続き、アメリカ法を中心に外国法についての調査・研究を行う。より具体的には、州法としてカリフォルニア州法を中心に競業避止特約を広く禁止する州の制定法を、連邦法としてアメリカ連邦取引委員会が2024年4月に発した競業避止特約禁止規制に検討を加える予定である。最終年度となる次年度には、文献調査に加え、アメリカ法の専門家からのヒヤリングやディスカッション、現地の大学図書館などでの資料収集等のため、アメリカに出張することを考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 5件)

  • [雑誌論文] アメリカ・テキサス州制定法に基づく競業避止特約規制(1)2023

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 96(10) ページ: 33-52

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] アメリカ・テキサス州制定法に基づく競業避止特約規制(2・完)2023

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 96(11) ページ: 21-86

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 労働判例研究 研修費用返還合意の有効性(労働基準法16条適合性)―独立行政法人製品評価技術基盤機構事件(東京地判令和3・12・2労経速2487号3頁)2023

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 73(6) ページ: 167-189

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカ・ニューヨーク州法における競業避止特約に基づく権利救済論2022

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 95(7) ページ: 1-81

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカにおける全国統一的な競業避止特約規制の形成に向けた取組み過程―統一雇用競業避止特約法(Uniform Restrictive Employment Agreement Act)の策定を契機として(1)2022

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 95(8) ページ: 39-82

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカにおける全国統一的な競業避止特約規制の形成に向けた取組み過程―統一雇用競業避止特約法(Uniform Restrictive Employment Agreement Act)の策定を契機として(2)2022

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 95(9) ページ: 1-40

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカにおける全国統一的な競業避止特約規制の形成に向けた取組み過程―統一雇用競業避止特約法(Uniform Restrictive Employment Agreement Act)の策定を契機として(3・完)2022

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      法学研究

      巻: 95(10) ページ: 1-28

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 要件事実で読む労働判例―主張立証のポイント(第2回) 不更新条項等が定められた有期労働契約の雇止めに関する要件事実―日本通運事件・東京地判令和2・10・1労判1236号16頁を素材に2022

    • 著者名/発表者名
      植田達
    • 雑誌名

      季刊労働法

      巻: 279 ページ: 128-140

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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