研究課題/領域番号 |
22K01198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 祐毅 東北大学, 法学研究科, 准教授 (80707498)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 刑事訴訟法 / 伝聞法則 / 証人審問権 / 供述弱者 / 司法面接 |
研究開始時の研究の概要 |
児童や精神障害・知的障害を有する者など,聴取における被暗示性・被誘導性が大きく,コミュニケーションに一定の問題があるなどの特徴が類型的に認められる者(いわゆる「供述弱者」)が,刑事手続において,参考人・証人として供述を採取され,それによる立証が行われることは少なくない。本研究は,供述弱者の特性やそれを踏まえた適切な聴取の在り方などに関する心理学等の知見を前提に,このような場面における諸外国での実践を参照し,関連する刑事手続法理論上の問題点を検討することを通じて,我が国における供述弱者の供述の採取及びそれによる立証の在り方について,具体的解釈論を提示し,立法論を展開する ことを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度には,昨年度に引き続き,諸外国における,いわゆる供述弱者の供述をどのように裁判に顕出するかについての実践に関して,文献の渉猟や研究者との意見交換を行い,最新の動向とその実際的な運用の調査を行った。 特に,昨年度から滞在中のフランスにおいて,被疑者・被告人が供述弱者である場合の特別の制度や運用,証人(被害者)が供述弱者である場合の特別の制度や運用について,それぞれ調査を行い,これに関する理論的検討も行なった。 これにより,供述弱者でない者を基本的には想定している通常の手続(証人尋問や取調べなど)が供述弱者の供述を採取し裁判の場に顕出するのに必ずしも適合的でない場合があるという問題意識が存在していること,その上で,この問題について,証人尋問における立会人の利用や尋問者に対する特別の訓練の実施などのほか,裁判の公開の制限,尋問のビデオ録画の柔軟な利用など,様々な方策が存在していること,あるいは公訴時効に関する特別の規定を設けるなど,そうした問題を回避する方策も充実していること,そして,これらの制度やその実践について,証人審問権や公正な裁判を受ける権利を含む防御の諸権利や裁判の公開原則との関係や,当事者対抗的手続における反対尋問の役割如何といった観点での理論的検討が必要となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,①司法面接の録音・録画記録媒体についての伝聞例外規定の創設に関連して,そのような供述弱者の供述の証拠使用が,伝聞法則及び証人審問権との関係で(どのような場合に)理論的に正当化されるか,さらに,②証人審問権や公正な裁判を受ける権利を含む防御の諸権利との関係や,当事者対抗的手続における反対尋問の役割如何といった理論的検討を踏まえて,供述弱者の証人尋問の手続がどのようにあるべきか,という二つの観点を総合することで,「供述弱者の供述をどのように採取しそれによる立証がどのように行われるべきか」について,適切な解釈論を提示し有用な立法論を展開することを目指すものである。2023年度には,その目的達成のため,必要な調査・検討を実施することができた。特に,我が国においては必ずしもアクセスが容易でないフランスにおける実践について詳細に調査をすることができたことは,研究の進捗に非常に有用であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き研究課題について,比較法的検討を中心とした調査・検討を行っていく予定である。具体的には,欧州(特にフランス及びイギリス)における資料収集・現地調査を実施し,これらの法域における研究課題に関する実践について把握するとともに,その理論的課題について明らかにしていくことを目指す。
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