研究課題/領域番号 |
22K01201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
内海 朋子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10365041)
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研究分担者 |
松原 有里 明治大学, 商学部, 専任教授 (30436505)
原 謙一 西南学院大学, 法学部, 教授 (80759192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 暗号資産 / 倒産 / 租税 / 没収 / NFT / 国際課税 / マネーロンダリング / Crypto Assets / トークン / デジタル通貨 |
研究開始時の研究の概要 |
暗号資産は、ネットワーク関与者がその移転を検証し、認証すること(マイニング)で、ブロックチェーン上にその移転が記録され、ある人物に移転・帰属することが確定するという形態によって管理される。そして、暗号資産の帰属・移転に関する情報をいわば「全員で書き換え、全員で保存する」ことによって情報の真正さを担保しようとする点で、これまでにない資産管理方法を採用しているため、そもそも民法の規律対象となりうる財産的な価値にあたりうるかという根源的な問いが投げられている。本研究では、暗号資産の持つ財産的価値を刑法上どのように適切に法的に位置づけ、評価していくのかを研究する。
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研究実績の概要 |
今年度は集中的に、暗号資産に関する研究会を実施した。特に、分野横断的に暗号資産に関する法的性質を解明するという観点から、商法分野の専門家を招いて、研究会を実施した。また、民事法分野の議論を他の法分野の研究者と共有するために、民法学者による講演を依頼し、暗号資産の実務に詳しい弁護士から、学説に対するコメントをいただき、今後の暗号資産をめぐる扱いについて、意見交換を行った。研究会の開催は以下のようなテーマで行われた。 第1回 4月 「暗号資産について」、第2回 5月「民事法における財産権の扱いについて」、第3回 横浜法学会 2023年7月①第1報告「暗号資産・NFTの技術概要及び法的性質をふまえた譲渡方法」、②第2報告「暗号資産に関する刑事的規制についてーマネーロンダリングと没収を中心にー」、③報告への応答及び実務の視点からのコメント、第4回 8月 「トークンの一般法理は手形法理論の二の舞を演じることになるか?」、第5回 10月「トークンと倒産隔離」 これらの研究会には、研究代表者・共同研究者の他に、研究代表者・共同研究者の所属する他分野の専門家も参加し、様々な角度から意見交換が行われた。研究代表者は、EUの暗号資産の規制状況や、ドイツにおける暗号資産の没収等について研究報告を行い、意見交換を行った。刑事法分野においても、没収・マイニング関連で暗号資産に対する関心の広がりがあり、多くの貴重な意見を参加者からいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は昨年度以上に、暗号資産に関する研究会を実施することができた。 商法分野の専門家から講演をしていただいたほか、民事法・刑事法・行政法・商法といった様々な分野からの参加者があり、他の専門分野の研究者との意見交換が増え、ネットワークが徐々に広がりつつある。 研究代表者が専門としている刑法分野においても、没収の可否や、許諾のないマイニングの事例等を中心として、没収の専門家・情報刑法の専門家らから関心が寄せられつつあり、今後さらなる研究の展開が見込まれる。 海外の研究者の関心も高く、研究代表者の所属する大学に留学している留学生からも本研究について関心が寄せられている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度に引き続き、暗号資産に関する研究会を積極的に実施していく。 昨年度の実績から、他の専門分野の研究者との意見交換が増え、ネットワークが徐々に広がりつつあるため、今後、さらにネットワークの拡大に努める。 そのためには、研究会のテーマ選びと、問題関心を共有している他のネットワークとの協働が欠かせない。今後、研究代表者と研究分担者のネットワークを生かして、この課題に取り組む。 海外の研究者の関心も高いため、今後は、まずは日本人研究者に、ドイツ、フランスの状況を分析した研究結果を報告してもらう予定である。これと並行して、海外ネットワークの構築を図ることとする。
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