研究課題/領域番号 |
22K01203
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小島 淳 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80318716)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 刑事訴訟法 / 捜査 / 逮捕・勾留 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「刑事手続における『事実』と『遮断効』の範囲」という大きな研究の一部を構成するものである。2022~24年度の研究の直接の目的は、比較法の手法を用いつつ、①逮捕・勾留の基礎(≒令状審査の対象)となる「事実」の範囲、②当該「事実」に基づき逮捕・勾留が行われた場合にどの範囲の事実につきさらに逮捕・勾留することが制限されるか、③それらのことが刑事訴訟法の関連規定の解釈とどうつながるのかを明らかにすることである。 研究成果は名古屋大学法政論集で公表する予定である。
|
研究実績の概要 |
2022年4月に刊行された判例解説(「住居侵入・窃盗での前訴の第1審判決後にされた常習特殊窃盗と前訴確定判決の一事不再理効(最一小決令和3・6・28)」令和3年度重要判例解説(ジュリスト臨時増刊1570)152-153)では、一事不再理効の「時間的範囲」についての最高裁の判断について解説した。その後、これを踏まえてさらに検討を進め、同年11月の「刑事法総合研究会」において、その検討結果の一端を報告した(未公刊)。そこでは、主として「時間的範囲」と「客観的(事物的)範囲」の区別について検討し、同決定を踏まえて考えると、一事不再理効について検討する場合には、まずは時間的範囲を検討する必要があり、その点をクリアーして初めて客観的(事物的)範囲の検討に入ることができることになるという点に触れ、また、そうしたことは、身体拘束の場面においても似たようなことが言え、身体拘束における遮断効の生じる事実の範囲についても同様の発想により絞りをかけることができるようになるのではないかといった点についても言及した。 また、前年度(2022年2月)に刊行された「併合罪関係に立つ事実の間での逮捕・勾留について―逮捕前置主義、逮捕・勾留の一回性の原則との関係を中心に―」(研修884・3)を踏まえてさらに検討を進め、手掛かりとなりうる文献の収集にも従事した。 さらに、直接的には「身体拘束」の遮断効ではないが、本研究の究極的な目的を達成するのに必要となる「裁判」における遮断効についても検討を進め、その一環として、二重の危険に関するDenezpi v. United States, 142 S. Ct. 1838 (2022)についての簡単な紹介を執筆した(これは2023年度中に「比較法学」(57巻)に掲載される予定である)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度においては、主として「令状審査の対象となる事実の範囲」及び「逮捕前置主義における『被疑事実の同一性』」について検討し、同年度末には関連する論考を公表する予定となっていた。同年度中に執筆のための資料の収集等の下準備を一定程度進めることはできたものの、2023年5月現在でまだ論文の形で研究成果を発表することができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のとおり、「令状審査の対象となる事実の範囲」や「逮捕前置主義における『被疑事実の同一性』」に関しては、2022年度中に資料の収集等の下準備は一定程度進めることができているため、そうしたものも消化しつつ、もともと2023年度中に研究予定となっていた「逮捕勾留の一回性の原則の射程」の検討と併せて検討を進め、少なくとも前者の点についての研究成果を2023年度中に活字の形で公表することを目指す。
|