研究課題/領域番号 |
22K01210
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内藤 大海 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (00451394)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 事前配慮型捜査 / 情報収集 / 情報保全 / 嫌疑 / 捜査の端緒 / 将来の犯罪 |
研究開始時の研究の概要 |
文献調査を中心とした日独比較を通じて、嫌疑概念の実質および担うべき機能を明らかにし、2この機能には不合理な差別的取扱の阻止が含まれること、3その結果、専ら直感や偏見に依拠して特定の人物を捜査対象とすることは禁じられること、4事前配慮型捜査においても行動メルクマールを主たる根拠とした嫌疑の認定がなされるべきことを明らかにする。併せて、例えば事前配慮型捜査と行政警察活動の棲み分けなど、派生的問題についても可能な範囲で調査・検討を行う。
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研究実績の概要 |
当該年度はドイツ文献を中心に資料収集を行い、ドイツにおいて捜査開始要件とされる嫌疑(Verdacht)について文献調査を実施した。具体的には、Ricker, Anfangsverdacht und Vorurteil, 2020、およびFischer/Hoven (Hrsg.), Verdacht, 2016(共著・論文集)を中心に、研究計画書で記載した内容の確認に当たった。その過程で、ドイツにおいては嫌疑が捜査開始要件であるとともに、捜査開始を義務付ける概念であることを確認しつつ、他方で現実には前領域(Vorfeld)といわれる犯罪発生前の時点における刑事訴追に向けた情報収集等の活動が行われることが実体化していることも明らかになった。 このような情報収集活動は、事前配慮型の情報収集あるいは情報蓄積としてすでに公法学の分野からも問題を指摘されている。本来、司法警察活動、すなわち捜査の領域においては、刑事訴追に向けた活動は犯罪の発生後にその疑いがある場合に初めて行われるものと考えられ、捜査開始要件としての嫌疑も以上のように理解されてきた。しかし、少なくとも判例・実務においてはこのような原則に従った運用は、大きく変化していることを確認した。問題は、犯罪発生前は行政警察、犯罪発生後は司法警察(捜査)という警察区分論の変更をどのように説明づけるかということになるが、現状ではまだ説得的な説明には当たっていない。むしろ、従来の原則論からは説明ができないのではないかという批判的分析が多くみられる。 本研究は延長中の別件の課題研究(19K01348)と密接な関係性を有するものであるところ、現在は別件の課題研究を取りまとめ論考執筆の作業を中心に進めつつ、その過程で得られた情報をノートにまとめるという作業を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナの影響を受け、本来終わっているはずの別件の課題研究(19K01348)を延長したため、こちらの遂行と同時並行になってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの影響も減り、本研究課題にある程度エフォートを割くことができるのではないかと期待されるため、文献調査を中心に、インタビュー調査も交えつつ進める。
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