研究課題/領域番号 |
22K01212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中島 宏 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (00318685)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 刑事訴訟法 / 検察審査会 / 公訴権 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2009年から導入された検察審査会による強制起訴制度の現状と課題を明らかにするものである。強制起訴は、刑事司法への民主的統制の手段として重要であるが、同じ理念を掲げる裁判員制度に比して、制度の導入から今日までの成果や問題点を包括的に扱う研究は必ずしも十分になされていない。本研究は、①強制起訴が行われた具体的事件における審査の過程と結果を資料から分析するとともに、②検察審査会による審査の過程の実態を関係者からの聞き取りによって実証的に明らかにし、③それらを通じて明らかになった実際上の問題点と公訴権に関する訴訟法理論との関係を考察した上で、④具体的な改善ないし再改革の方向性を提言する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、①検察審査会制度の運用の実状を明らかにするため、審査補助員を経験した弁護士や検察審査員経験者の一般市民への聞き取り調査を企画・実行しつつ、②検察官による公訴権行使のあり方や刑事司法への市民参加の理念的基盤についての理論研究の成果を論文として公刊する予定であった。 このうち、②の理論研究については、2022年度から引き続いて、関連文献の網羅的な収集・整理を行うとともに、関連する研究会等で隣接領域を含む研究者との議論を重ね、論文の執筆を続けている。執筆中の論文では、これまでの分析と考察を踏まえ、検察審査会と検察官の起訴基準が異なるものであってもよいとする見解の問題性を論証しつつ、これまでの検察官が行ってきた厳格な起訴基準の設定といわゆる「精密司法」がもたらす弊害とが必然的に結びつくわけではないことを明らかにしつつある。しかしながら、2023年度中には査読誌への投稿が可能な水準に至らしめることができなかったため、未だ公刊には至っていない。この論文については、2024年度の前半期には公刊する見通しである。 また、①の実態調査については、個別の聞き取りによるデータの整理が進行中であるが、制度の運用の全体像を明らかにする分量には至っていない。相当数の調査を上乗せして一定の量的な分析を可能とするため、また、対象者の守秘義務への適切な配慮についての見直すため、社会調査の方法に乗っ取った統一的な質問項目の整序を行い、2024年度に実施する調査の準備を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の達成に向けた全計画に照らして、進捗の度合いは極めて不十分である。2022年度において新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の研究計画を大幅に変更し、実態調査よる現状把握よりも文献調査による理論研究を先行させ、同年における資料収集活動の蓄積を踏まえ、2023年度中に論文を公刊する予定であったが、その分析に想定以上の時間を要し、年度内の公刊に向けたスケジュールに間に合わせることができなかった。予期せぬ外部的要因によるものではなく、課題の難易度に対する見込みを誤ったためである。
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今後の研究の推進方策 |
大幅2生じている研究計画の遅れを早期に取り戻すべく、2024年度の前半期において、①検察審査会及び検察官における起訴基準のあり方に関する論文を公刊するとともに、②公訴権行使への市民参加を支える理論的基盤を裁判制度のそれと比較検討しつつ明らかにする論文を執筆する。また、③検察審査補助員や検査審査員の経験者からの聞き取りについて、同 年度の前半期に調査法の見直しを急進し、規模を拡大した調査を継続的に実施する(可能でれあれば、当該調査の途中経過にあたる報告を公刊する)。 その上で、運用実態の調査結果と理論研究とを統合的に分析し、両者を架橋する考察を行い、検察審査会の審査手続きに対する具体的な改革提言を含む最終的な論文を、同年度後半期に完成させる。
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