研究課題/領域番号 |
22K01215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
川島 享祐 立教大学, 法学部, 准教授 (90734674)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 取調べ / Miranda法理 / 強制処分法定主義 / 違法収集証拠排除法則 / 直接主義 / 任意処分 / 伝聞法則 / 自白 / 司法と立法の役割分担 / 比較法 |
研究開始時の研究の概要 |
被疑者の供述の自由を保護し誤判を防止するためには,被疑者の取調べに対する手続的規制が実効的に行われる必要がある。しかし,我が国において,この点に関する法律上の規定は多くなく,かつ,最高裁は,取調べに対する手続的規制について消極的な態度をとってきた。本研究は,被疑者の取調べに対していかなる手続的な規制が及ぼされるべきかという問題について,国家機関間,とりわけ司法と立法の役割分担という視点の下,幅広い比較法的・歴史的検討を行い,具体的な解釈論・立法論の提示を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,被疑者の取調べに対していかなる手続的な規制が及ぼされるべきかという問題について,国家機関間の役割分担という視点の下,比較法的・歴史的検討を行い,具体的な解釈論・立法論の提示を目指すものである。今年度も,昨年度に引き続き,捜査法・証拠法双方から取調べに対する手続的規制について検討し,概ね計画どおりに研究を進めることができた。 まず,捜査法的観点からは,アメリカの取調べを手続的に規制するMiranda法理の検討を行った。同法理は司法府たる連邦最高裁が定立したものであるが,被疑者の権利行使の有無によって取調べを規制しようとする同法理の有効性については悲観的な見解も有力である。また,アメリカでは,司法と立法の役割分担という観点から,なぜ立法府ではなく司法府である連邦最高裁が,予防的な法理として同法理を定立できるのかという問題について議論がある。今年度は,これらの学説の検討を行った。 次に,司法と立法の役割分担という点に関しては,強制処分の創出を司法府ではなく立法府に委ねる強制処分法定主義や,司法府が創出したもののその正統性に関して議論が存在する違法収集証拠排除法則についての分析が重要となる。今年度は,これらの法理ついての分析も行い,研究成果の一部をそれぞれ『刑事訴訟法判例百選』,『法律時報』において公表した。 また,今年度は,証拠法的観点から,ドイツの直接主義について,我が国の伝聞法則との相違を含めて,理論的な分析を行った。直接主義は,被疑者・被告人によるものを含む公判外供述を公判に顕出する際のルールとして,我が国においても言及されることがある。しかし,ドイツにおけるそれは職権主義を基礎に置くものであり,それを表面的にのみ理解して当事者主義を採用する我が国に導入しようとすることには慎重であるべきであるとの理解に至った。この研究成果の一部は『法律時報』において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究業績の概要」欄で述べたように,概ね順調に調査・研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度には,捜査法及び証拠法の観点から,概ね順調に,被疑者の取調べに対する手続的規制について検討を進めることができた。来年度は,引き続きアメリカ法について,裁判傍聴や現地法曹へのインタビュー等を含めた調査を行うとともに,イギリス法や欧州人権裁判所判例についての調査・検討を開始する予定である。
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