研究課題/領域番号 |
22K01224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
高橋 大輔 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (90634080)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 児童福祉法28条 / 児童虐待 / 親権 / 親権制限 / 親子法 / ドイツ法 / 旧児童虐待防止法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一に、親権制限制度と児童福祉法28条による入所等の措置の法的関係からも、親権の部分的制限が必要であることを法理論上、実務上の要請からも示す。第二に、親権(ドイツ法においては「Elterliche Sorge(親の配慮)」)を部分的に制限することを可能とし、子どもを保護する場合には親権を制限しているドイツの具体的運用を参考にし、親権の部分的制限を行う上での実務への示唆を得る。第三に、以上を踏まえて、最終的に、民法および児童福祉法の改正案を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究課題については、科学研究費助成を受ける以前には日本の現行法の解釈論についてのみ研究しており、沿革的な研究や比較法的研究は行うことができなかった。そのため、2022年度においては、法制度の沿革的な研究によって得られた結果を拙稿「児童福祉法28条の成立史-旧児童虐待防止法2条を中心として―」茨城大学人文社会科学部紀要人文社会科学論集2号(2023年2月、137~148頁、単著)として公表した。 その結果、児童福祉法28条(旧児童虐待防止法においては2条)と親権制限制度が、当初は別々の制度であったにも拘わらず、児童福祉法28条が事実上親権を制限してしまうという制度の本質から、その後は児童福祉法28条の役割と親権制限の役割が徐々に重なって来ていることを指摘した。その上で、現在のように、事実上親権が制限されてしまうという不明瞭な状態から脱し、親権の部分的な制限を制度として導入し、親権のうちの「何が」制限されているのかを明確にすべきであることを明らかにした。 しかし、親権の部分的制限制度については、現実に制度を施行した場合、残存する親権を根拠に不当な親権行使が繰り返されるなどの懸念があり、2011(平成23)年の民法改正で見送られた経緯がある(飛澤知行編『一問一等 平成23年民法等改正―児童虐待防止に向けた親権制度の見直し』、商事法務、2011年、28頁など参照)。 そのため、当初の研究計画に従い、2023年度においてはドイツ法から比較法的示唆を準備段階として、その研究調査を行った。このとき、ドイツ法においては、親権(ドイツ法においては「Elterliche Sorge(親の配慮)」)を部分的に制限することが可能であり、子どもを保護する場合には親権を部分的に制限しているため、本研究課題遂行のために比較法の対象としたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、研究計画に従い、それまでの研究によって得られた知見を踏まえ、ドイツ法について研究調査を進めることができた。そのため、本研究課題が「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、2024年度においては、2023年度までの研究をさらに進め、比較法的示唆を得るため、ドイツ法における子どもの保護と、日本の親権に相当する「親の配慮(Elterliche Sorge)」の制限について研究する。このとき、日本国内においては以前から親権の部分的制限の「難しさ」については指摘のあるところである。具体的には、例えば部分的に親権を制限したとしても、残存している親権を理由に親権者が不当な親権行使を行う危険が残り、結局のところ問題の解決にはならないのではないかとの難しさや危険性が指摘されてきた。そのため、2023年度の研究を継続し、2024年度の研究においてもさらに親の配慮の部分的制限を導入しているドイツ法におけるその運用方法やその際の注意点などについても調査する予定である。その上で、2023年度及び2024年度の研究成果を、2024年度中に公表する予定である。
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