研究課題/領域番号 |
22K01225
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 和子 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (90508384)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 詐欺 / 保証契約 |
研究開始時の研究の概要 |
近時、保証人の意思表示の錯誤や詐欺が問題となった紛争の事実関係を分析すると、債権者や債務者が、非難されるべき説明や対応により、保証人の誤信を誘発した事実が認められることが多い。日本の裁判所は、悪質な事例でなければ、詐欺の成立を認めない場合が多い。しかしフランス法では、保証契約において、当事者の地位や能力、当事者の行為態様、主たる債務者と保証人の関係などを詳細に考慮しつつ、詐欺の成立が柔軟に広く認められている。 本研究では、日仏の文献・判例の分析及びフランスにおける現地調査により、厳格に解されてきた詐欺の成立要件を再検討し、詐欺の規定により保護されるべき保証人の基準や範囲をより明確にする。
|
研究実績の概要 |
近時、日本において保証人の意思表示が問題となった紛争の事実関係を分析すると、債権者や債務者が、非難されるべき説明や対応により、保証人の錯誤などを誘発した事実が認められることが多い。ところが、保証契約の性質などから、日本の裁判所は、錯誤の成立を認めない場合が多い。しかも、悪質な事例でなければ、詐欺の成立も認めない場合が多い。しかし、このような価値判断は普遍的なものではなく、例えば、フランス法の下では、保証契約において、当事者の地位や能力、当事者の行為態様、主たる債務者と保証人の関係などを詳細に考慮しつつ、詐欺の成立が柔軟に広く認められている。 2022年度では、フランス法における詐欺の成立(特に、主たる債務者による詐欺があった場合)について、関連する多くの裁判所の判断や学説を検討した。2016年改正前の民法の規定(旧民法1116条)には第三者による詐欺の規定はなかった。そのため、主たる債務者による詐欺が認められるか否かを判断するとき、まず、主たる債務者を「契約当事者」とみなすことができるか否かが問題となっていた。この問題について、主たる債務者と債権者との関係を詳細に分析し、裁判所は判断を行っていた。2016年改正後、民法1138条2項は、「共謀した第三者によって詐欺が行われた場合にも、詐欺の成立を認める」との規定を置いた。そのため、2016年改正後には、まず、民法1138条2項にいう「共謀」とはどのような意味を持つかについて、裁判所や学説では活発に議論がなされるようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外の資料を購入するのに非常に多くの時間がかかってしまった。また、研究開始時には予想しなかった本研究以外の業務を担当することとなり、本研究に多くの時間を充てることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に遂行した研究の内容を筑波大学の紀要に公表する。2023年度は、昨年度と同様、フランス法における詐欺の成立(特に、債権者による詐欺があった場合)について、関連する裁判所の判断や学説を検討する。積極的な詐欺(術策や虚偽の陳述など)が行われる場合と消極的な詐欺(沈黙による詐欺)が行われる場合が考えられるので、それぞれの要件について詳しく検討をする。
|