研究課題/領域番号 |
22K01231
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松原 正至 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (10252892)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | LLC / パートナーシップ / 組合 / 善管注意義務 / 株式会社 / LP / 合同会社 / プライベートカンパニー |
研究開始時の研究の概要 |
「事業目的実現のための最適な法スキームの提案」と「出資者と経営者との最適なパワーバランスをもたらす法スキームの提案」を目的として、本研究は基本的には会社法・金融商品取引法・経営学に関する文献・資料等を収集・分析するとともに、特に英国と米国の制度を比較対象とする方法にて研究を進めていく。事業分野に即した具体的な提案を行うために、補助事業期間において、それぞれ1週間程度の期間にて英国と米国において資料収集・実地調査を行う予定である。 最終の研究成果は紀要である『広島法学』において公表する予定である。
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研究実績の概要 |
本研究は4年の研究期間を設定して進めている。令和4年度においては、これまでの研究で得られた知見をベースに、わが国において、事業の成長段階に応じて事業形態がどのように用いられ、法制度がそれを効率的に運用できるように提供されているかということについて、現状分析と比較法研究をすることとしており、実際に、それらを主として文献ベースで行った。その際に、特にこの分野での先進的役割を果たしている米国について、制度と判例を整理してわが国への示唆を得ることを意識した。 それらの成果については、まず、令和4年9月に開催された神戸大学商事法研究会にて、質疑応答を行う形で発表することができた。 さらに、本研究は起業の促進や事業の継続向けた最適な法スキームの提案を目的としている。この点につき、非常に重要な示唆をもたらすと予想される米国の判例を分析した。これは、パートナーシップという形で共同事業を実施している中で、一方当事者の利益相反行為により共同事業が破綻したという事例であり、他方当事者の保護に対してパートナーシップ法では限界があること、ならびにLLCを積極的に用いるべきとの議論があること等が理解できた。また、ある事業そのものではなく、その完成に向けた共同作業について、わが国でも民法上の組合法理を用いることで、一方当事者の善管注意義務違反を導くことができるのではないかという問題提起を行い、これらについて、令和5年3月刊行の広島大学法科大学院論集19号において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
起業の促進や事業の継続に向けたわが国の法制度の実態と問題点の把握と令和5年度以降の英国と米国の実態調査に向けた文献ベースでの研究という、本研究課題の1年目の研究は研究実績欄に記載の通り、概ね順調に進展していると考えている。ただし、英国の研究については未だ文献ベースでの情報収集に留まっており、その成果を急ぐ所存である。 なお、勤務校の学部移転が令和5年4月に行われたことにともない、令和4年に実施予定であった一部文献の購入・整理が持ち越しになっており、令和5年度にまとめて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画にしたがい、令和5年度は英国におけるプライベート・カンパニーやパートナーシップ法制について、文献ベースでの研究と実態調査を行う予定である。また、令和6年度は米国についてLPやLLCについて同様の研究と実態調査を予定している。ただし、特にウクライナ情勢の影響から、為替レートが円安となっていること、航空運賃や宿泊料が高騰していること、さらにはストライキが頻繁に起こっていることなどから、英国と米国への実地調査については年度を違えて実施する可能性がある。また、本研究の最終年度にあたる令和7年にこれらの実態調査が延期される場合には、可能な限り先立って文献ベースでの調査・研究を進めたいと考えている。
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