研究課題/領域番号 |
22K01237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
工藤 敏隆 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50595478)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 集団訴訟 / 和解 / ADR / 消費者裁判手続特例法 / クラス・アクション / 団体訴訟 / ODR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(以下「消費者裁判手続特例法」という)が規定する被害回復裁判手続について、裁判外における和解的解決を促進する見地から、アメリカ、ブラジル、韓国、フランスなどの法制度や実務運用を調査・分析した上で、2段階の手続で構成される被害回復裁判手続の第1段階である、共通義務確認訴訟における裁判外の和解に関する規律、および集団的消費者紛争の和解的解決における、調整型(合意形成支援型)ADRやODRの活用について、比較法的手法により考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は比較法研究を中心とするが、現時点では、集団的被害回復手続の利用状況、法改正の動向、資料へのアクセスの容易性等の諸事情を考慮した上で、フランスとイタリアを対象としている。 フランスについては、グループ訴訟(action de groupe)における訴訟手続と、司法調停(mediation judiciaire)、および合意調停(mediation judiciaire)、ならびに当事者間交渉の関係について、同国における代表的なADR機関の1つである、パリ調停仲裁センター(CMAP)における調停の実情を調査した。CMAPは、消費者法典が消費者法典やグループ訴訟を導入するより前から、消費者集合調停規則を定め、認証消費者団体と事業者間の合意調停を行なっており、グループ訴訟において司法調停からの付託を受けることが可能な体制を設けていることが判明した。 イタリアについては、集合訴訟手続(procedimenti collettivi)における被害回復訴訟手続と、訴訟上の和解(transattiva)、勧解(conciliativa)、ならびに当事者間交渉の関係について、文献資料の調査と、現地研究者に対するインタビュー調査を実施した。集合訴訟手続においては、本案審理前の裁判所の職権による和解または調停案の提示(民事訴訟法840条の14第1項)や、請求認容判決後の個別的権利の確定前に、原告・被告間で締結される和解(同条2項)に関する規定が存在する。これらの規定の実際の運用(通常訴訟における和解的解決との比較など)については、さらなる調査を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランスにおける集団的消費者紛争における調停の活用については、論稿を発表することができた。イタリアの集合訴訟における和解的解決についても論稿の執筆を進めており、次年度には脱稿に至る見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
イタリアの集合訴訟手続における和解的解決について、従前の文献調査やインタビュー調査に基づき、次年度中の脱稿を目指し執筆を進める(必要に応じ、補充的な現地調査を実施する可能性がある)。 加えて、他の法域(ブラジルやカナダ等)における集合訴訟手続と和解的解決の実情についても、並行して文献調査に着手する予定である。
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