研究課題/領域番号 |
22K01241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大澤 慎太郎 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90515248)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 保証 / 保証(的)制度 / 不動産賃貸借保証 / 金銭担保機能 / 非金銭担保機能(事実的債務) / 身元保証(身元引受) / 家賃債務保証事業 / 超高齢社会 / 保証人保護 |
研究開始時の研究の概要 |
不動産賃貸借や老人ホームへの入居の際等に求められる保証は、賃料や損害賠償債務といった金銭債務の弁済を担保するのみならず、入居者を“監督する”という役割(機能)まで期待されている点で、法律上の保証とは対応しない“保証的なもの”である。これを「保証的制度」と呼ぶならば、「保証的制度」は社会の要所要所で多種多様に利用されながらも、その法的構造は不明確なままである。その結果、関係当事者の法的な権利義務関係が曖昧なままに運用され、保証人に課せられる過剰な負担も黙認されている嫌いすらある。そこで、本研究では「保証的制度」の法的構造を明らかにし、「保証人保護の実効的方策」を具体的に提示することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度の目標は、初年度(2022年度)の研究において導出された「保証的制度の利用場面の分類」とこれに基づき抽出された「基準枠」を踏まえ、「保証的制度」における「非金銭担保機能の抽出と法的評価=保証的制度の法的構造の明確化への取組み」を行うことにあった。 2022年度の「研究実績の概要」においても示したように、同年度における実施調査の不足がやや懸念されていたところ、今年度は、都市開発から仲介業まで幅広く「不動産」を扱う企業(不動産業者)の法務部の責任者から、主として不動産賃貸借をめぐる実務上の問題について意見聴取することができたのは、前年度の成果の欠損を補うものとして重要な成果であったといえる。この結果、前年度の成果として導出された「基準枠」が不十分であることが判明したため(特に、従前において文献からは正確に把握し切れていなかった形態の不動産賃貸借や保証の形態がありうることなど)、これを修正しつつ、必然的により多様化されることになる保証的制度における非金銭担保機能の法的評価を試みた。その成果の1つは、まさに本研究が問題設定として示した一場面たる不動産賃貸借における「立ち退き(無催告解除)」と保証との関係をめぐる重要判例の分析として、近時公刊される予定である(入稿済み、校了)。また、同じく昨年度において協力を依頼した医師からも、地域医療に関する新たなネットワーク作りの取り組みに係る情報を得ることもできた。これ自体は、やや本研究の目的と離れる色彩はあるものの、広くは「超高齢社会」における”住まい”の問題を問うものであるという点では、研究の幅と深さとをもたらし、本研究の社会的意義(インパクト)を強化するという視点から、有意なものであったと評価できる。 その他、広く「担保」という視点から関連する論点として、現在進行中の担保法の改正に関する問題について検討を行い成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画時点における2023年度の目標、すなわち、「非金銭担保機能の抽出と法的評価」という視点から観ると必ずしも充分な成果を出せているとは言い難い。しかし、「研究実績の概要」でも示したように、不動産賃貸借保証に係る実務をめぐる協力者を得ることによって、2022年度の成果上の「欠損」を補うことができ、さらには、今後の協力も期待できることは、今年度の目標達成を補ってあまりあるものといえる。同じく、「研究実績の概要」でも示しているように、本研究計画のいわば中間総括ともいうべき判例研究の成果も公刊予定であることも大きい。結局のところ「非金銭担保機能の抽出と法的評価」は、最終年度までブラッシュアップしながら継続すべきものであるため、その(部分的な)遅れは本研究計画の全体からみれば、進捗に大きく影響するものでは無いと考えている。 以上を総合すると、本研究計画は予定通りに進んでいるとまでは言えないものの、概ね順調に進展していると評価できる。なお、「今後の研究の推進方法」でも示すように、2024年度の中核的研究である「フランス法」との比較法的研究の実施に備え、2023年度までに相当数の文献収集を終えていることも付言しておく。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」でも示したように、本研究は概ね順調に進展していることを踏まえ、2024年度も当初の予定通りに研究計画を進めることとする。すなわち、2023年度までに導出された成果を精査、アップデートしながら、その結果をめぐり、本研究計画に通底する「保証人保護」という視点から、その研究が厚く、また、わが国の母法の1つでもあるフランス法の研究を比較法的に行う。
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