研究課題/領域番号 |
22K01246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 隼 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10756589)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 民事訴訟法 / 事実的効力 / 証明効 / 波及効 / 先例効 / 裁判を受ける権利 / ドイツ法 / 事実効 / 手続保障 |
研究開始時の研究の概要 |
民事訴訟で下される判決は、訴訟法制度の予定する法的な効力(既判力、形成力、執行力等)のほか、証明効、波及効といった「事実的効力」をもつものとされるが、この種の効力を民事訴訟法理論として(どこまで)承認できる(すべき)か、また、それによって不利益を受け得る者に配慮してどういう規律が用意されるべきか、等の問題が残されている。本研究は、このような現状認識を背景として、関連する諸外国の議論を参照しつつ、判決の事実的効力に対するアプローチの在り方について考察するものである。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、前半には、前年度に引き続き、後訴裁判所の判断に対する影響力としての「証明効」と当事者その他の関係者の行動に対する影響力としての「波及効」という分類を差し当たりの指標として、在外研究に向けた基礎固めの意味も込めて、日本法の議論状況の整理に傾注した。後半には、ドイツ(ボン大学)に拠点を移して、本格的な比較法研究に取り組み始めることとなった。法的審尋請求権、裁判を受ける権利などといった基本権と事実的効力との関係を探るとともに、主として、証明効、事実上の先例効、裁判官による法形成に関する文献を繙いて、とりわけ、それらの効力あるいは作用によって不利益を被り得る第三者との関係において、どのような訴訟法上の手当が予定されているのか(またはいないのか)、想定される措置の差異をもたらすファクターは何なのか、といった問題について見晴らしを得ることを試みているところである。 この間の関連する成果としては、「他人間の法律関係の確認の訴えの適法性」と題する論文を公表できたことが大きい。ドイツにおける近時の(その種の訴えを類型的に不適法と解する)議論の展開に示唆を得つつ、第三者が当事者間で下されることとなる判決に事実上従うであろうという期待・見込みに照らして確認の利益を導いてきた従前の一般的な見解に対して一石を投じたものであり、少なくとも、そうした考え方を相対化する契機を提供することはできたのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度の途中から在外研究の機会を得てドイツにおいて本格的な研究に乗り出すとともに、一定の成果も公表できたため、おおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ドイツに滞在しながら、判決の事実的効力と位置づけ得る効力を広く射程に収めて、それらに対する訴訟法上の規律の在り方について考察する。
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