研究課題/領域番号 |
22K01252
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 道生 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60334950)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 保険募集 / 情報提供義務 / 変額保険 / 保険販売業務指令 / ドイツ保険契約法 / 保険募集規制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、EUの保険販売業務指令を国内法化したドイツの保険契約法等を対象に、わが国の保険募集規制との比較を通じて、両者の間の規制の違いに着目することにより、そのような差異がなぜ生じるのか、わが国においてこれまで十分に意識されてこなかった視点はないのか、いずれが規制のあり方として望ましいのか、という問題意識のもと、①保険会社、保険仲介者の保険販売業務に関する行動規範を法律上一般原則として規定するか、②投資性保険商品の販売の際の適合性原則と助言義務との関係をどのように理解するか、③保険商品販売の際、保険仲介者と顧客との間に生じうる利益相反の問題にどのように対処するか、について検討する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、「相続税対策を目的とした保険契約締結と保険募集時の情報提供義務」と題する論文の執筆に取り組んだ(なお、令和6年4月末時点で、所属研究機関の紀要を含め、どの雑誌に掲載するか考慮しているところであり、公表に至っていない)。 顧客が保険契約を締結するにあたって、その目的は、保険による補償(保障)であったり、資産運用であったりするのが通常である。しかし、なかには、節税目的(相続税の課税評価額の低減や非課税枠の活用、所得税の生命保険料控除など)のために、生命保険契約が締結されることもある。訴訟事例となると、平成初期に、相続税対策として変額保険が勧誘されたことが想起されるが、そこでは、生命保険会社担当者等によって、相続税対策として提案された変額保険を利用した仕組みが実際には機能せず、その結果、節税という契約目的に反して、保険契約者側に多大な損失が生じてしまい、保険会社等の損害賠償責任が追及されている。 本稿では、生命保険が相続税の課税対策として勧誘され、顧客側にも今後見込まれる相続税課税を何らかの方法で節減できないかとの意向がある場合に、保険会社側による課税対策の提案にあたって、当該生命保険を利用した節税の仕組みにつき、私法上、いかなる情報提供義務が存在するのか、変額保険以降の裁判例を対象に検討を行った。変額保険の事例では、そもそも節税の仕組みが実際に機能するのかという論点があるが、生命保険を利用した節税の仕組みが機能しないとした場合、そのことが保険会社側の情報提供義務違反等にもとづく不法行為責任の成否にどのように影響してくるのか、変額保険以外の生命保険契約に関する近時の裁判例も素材に考察を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度中に執筆した「相続税対策を目的とした保険契約締結と保険募集時の情報提供義務」は、令和6年4月末時点で、所属研究機関の紀要にするか、あるいは、外部の専門誌にするか、掲載誌を決めかねており、その結果、成果の公表が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
EUの保険販売業務指令(Insurance Distribution Directive)」(以下、「IDD」という)を受けて2017年に国内法化されたドイツ保険契約法1a条について、まずは、保険契約法の最新版のコンメンタール等の資料を順次入手し、これらをもとにしてIDDとの比較(照合作業)を踏まえつつ、その規律内容を重要な関係規定とあわせて理解する。そのうえで、わが国の保険募集規制との比較法的考察(保険法の制定時における法制審議会部会での議論を含む)を行う予定である。
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