研究課題/領域番号 |
22K01254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
増田 史子 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60362547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 商法典 / 運送契約 / 定期傭船契約 / 運送取扱契約 / 倉庫寄託契約 / 物流 |
研究開始時の研究の概要 |
サプライチェーンの高度化とともに、物流業においては、単なる運送にとどまらない総合物流サービスの重要性が増している。わが国の運送契約法制は、平成30年商法(運送・海商関係)改正により一応の現代化が図られたものの、この改正の際には総合物流サービスの規律という観点からの検討はほぼ行われておらず、平成29年民法(債権法)改正の際の議論との接合、改正後の民法の規律を踏まえた整理も不十分である。本研究は、平成30年商法改正後の運送契約法制とその周辺領域にある営業の規律を、平成29年改正民法や諸外国の法制を踏まえて改めて検討し、現行法制が十分に現代的なものなっているかを明らかにしようとするものである。
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研究実績の概要 |
2023年度の具体的な研究成果は、「現在までの進捗状況」欄にて説明する事情により公表時期が2024年度となる見通しのため、次年度の研究実績として報告する。以下、2023年度の本研究課題に係る研究活動の概要を説明する。 2023年度は、(1)2022年度に続き、わが国の商法典とドイツ商法典、フランス商法典の比較検討をさらに進めることで、運送契約法制の前提となる商事法の基盤について考察を行った。また、(2)平成30年商法(運送・海商関係)改正を振り返りつつ、イングランド法等の議論状況を踏まえて、運送人の契約責任の検討を行うとともに、荷送人の責任について若干の考察を行った。さらに、(3)2024年度に開催される学会での報告の機会を得たため、その準備として、国際航空運送契約の特殊性と一般性の検討を進めた。 具体的には、(1)に関し、2022年度の成果として公表した論考について改稿の機会を得たたこともあり、約款による取引についての考え方(2022年度時点では検討が手薄となってしまっていたが運送取引にとってはきわめて重要である)、デジタルプラットフォームを介した運送関係取引についての考え方を、追加的に調査・検討した。その成果の一部は2024年に公表される予定の修正稿に反映したところであるが、後者に関しては、現代的運送取引の一種として更なる検討を要すると思われるので、2024年度も引き続き調査・検討を進めたいと考えている。(2)に関しては、特にイングランド法に関し、航海傭船契約に関する体系書の改訂版や海事における契約責任についての論文集が刊行されたため、その読解と検討を進めた。(3)については、最近刊行された注釈書と航空法関係の雑誌論文を手掛かりとして、最近の判例とその評価について調査を行った。特殊な法制ゆえか、貨物運送に関する判例は最近は乏しくなっていること等を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度前半は、研究室の所在する建物の改修工事とこれに伴う研究室移転の影響により、十分な研究時間と研究環境を確保することが難しい状況にあった。もちろん、その間も資料の渉猟と分析は進めてはいたものの、本研究課題に関する論考の執筆を進めることができたのは、状況が落ち着いた年度後半になってからであった。2023年度中にまとめた論考の公表は2024年度となる見込みなので、2023年度の成果は、実際に公表されてから、2024年度の成果として報告したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、運送契約法制の特殊性と一般性について検討を進める。昨年度は成果のとりまとめが停滞してしまったため、本年度は、引き続き文献の収集を進めながらも、調査・研究の成果を形にすることに、より注力したいと考えている。なお、国際航空運送に関しては、運送人に厳格責任を課し、かつ、常に責任額を一定の額までに制限するという特殊な法制の影響ゆえか、現在では、貨物運送についての新しい判例は乏しい状況になっていることが判明した。旅客運送の議論を貨物運送にも及ぼす見解も散見され、旅客運送に関する議論の(貨物運送を含む)航空運送契約全般に対するインパクトの見極めが必要と考えられるため、当初の研究計画では予定していなかったことではあるが、旅客運送にも手を広げて検討を進めたいと考えている。
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