研究課題/領域番号 |
22K01269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
竹浜 修 立命館大学, 法学部, 教授 (40188214)
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研究分担者 |
村上 康司 愛知学院大学, 法学部, 教授 (30589320)
土岐 孝宏 中京大学, 法学部, 教授 (70434561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 賠償責任保険 / 生産物賠償責任保険 / 会社補償 / 補償契約 / ビジネスリスク免責 / リコール費用保険 / 企業の賠償責任 / 会社役員の損害賠償責任 / 役員賠償責任保険 / 中小企業の保険契約 / 役員の責任 / 主観的リスク / D&O保険 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、わが国の中小企業等の法人およびその役員の主観的リスク(故意・過失による損害の責任負担リスク)の補償の在り方について、会社法および保険法の視角から会社補償、D&O保険および一般賠償責任保険契約の利用実態を踏まえて、これらの制度・保険契約の規定の適切な解釈適用を検討しようとするものである。
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研究実績の概要 |
当年度においては、まず、わが国の中小企業自体が賠償責任を負う可能性がある場面、とくに生産物賠償責任について検討を行い、裁判例を中心に、その責任につき補償対象とする中小企業向けの賠償責任保険の利用における法的課題を考察した。この局面では、大企業のように、法務部などで自社のリスクについて詳細な検討を経たうえで、保険会社との間の交渉で必要な保険によるカバーを得る作業に必ずしも十分に対応できていない場合が見られ、とりわけ、中小企業向けの「事業活動包括保険」においてもそのような事情があるように窺われた。このため、企業間取引であったとしても、このような中小企業向けの保険契約において、保険会社等の専門家からの適切な専門的助言や説明を得ながら、必要なカバーを得られるよう契約内容を適切にすることが課題になっていることを明らかにした。 次に、役員の責任に関する会社補償の利用のあり様をアメリカ法との若干の比較を踏まえて検討した。わが国の現状では、とくに中小企業において会社補償の利用は進んでいない。中小企業の財務的負担の課題や法的専門知識をもつ人材の不足とそこに人を割くだけの余力のなさなどが考えられる。会社補償制度は、役員の責任を会社が補償するため、構造的な利益相反性があり、積極的な利用に大きくは進んでいないようであるが、徐々に増加する傾向にはあるようである。 前者の課題を追求した論文として、竹濵修「中小企業の賠償責任保険等の利用における法的課題―生産物賠償責任保険等を中心に―」損害保険研究85巻4号(2023年)、後者について、村上康司「会社補償の意義と活用可能性」立命館法学411・412号(2024年)が公刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中小企業の責任負担原因は概ね把握しつつあるが、それと当該法人・企業と役員との責任関係やその補償に関してどのように臨んでいるのかがなお必ずしも判然としておらず、この点の資料が不足している。また、会社補償については、一定の研究の進捗があったが、D&O保険の利用などについては、中小企業における実態に基づく検討が遅れている。資料上の困難があり、法的な課題の検討が十分に進み難い面がある。わが国の実情を照らし出すうえで、外国法との比較検討を進めることが課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
中小企業における会社補償やD&O保険の利用実態についてわが国の実情が把握しにくい面があることから、外国法の検討を通じてわが国の実情を照らし出し、推測すべく、研究を進める方針である。比較法的な検討によりわが国の課題をあぶり出す方向に進めることとする。もちろん、わが国の関連分野の判例等から実情を推察することも併せて推進し、本研究テーマの深化を目指す。
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