研究課題/領域番号 |
22K01270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
原 謙一 西南学院大学, 法学部, 教授 (80759192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 担保物権 / 暗号資産 / NFT / ブロックチェーン / トークン / 日仏比較法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、暗号資産やトークンに担保を設定する法制度が資金提供者・調達者(法制度の利用者)の状況や需要を受け止め、利用者にとって明瞭で活用しやすいものとなることを目指し、日仏での文献調査や聞取り調査によって行われるものである。 以上は、無体の財がどのように活用されるべきかを理論的に検討しながら、その前提として、暗号資産やトークンのような新たな財に対し、どのような法的支配を及ぼすかという側面から光を当てることで、これらの法的性質論にも影響を及ぼす。 また、本研究は暗号資産やトークンの活用しやすい法制度を設計するものでもあり、日本のデジタル産業の基礎となる金融面への現実的な影響も見込まれる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、①暗号資産技術の詳細のほか、②当該技術に対する法的評価や運用を文献及び聞取りによって調査し、③暗号資産やその担保化のおかれた現状や課題を調査・検討した。 まず、①につき、ブロックチェーンへの記録で構成される暗号資産は、現状において、投機的資産と評価され、それが担保化されることも実務上は存在するものの、同種の記録技術を用いたNFTという財に対する実務上の関心が高まっていることを文献調査及び聞取り調査によって把握した。 次に、②については次の通りである。はじめに、暗号資産につき、私法領域において財産権を承認し、当該権利の属する移転と帰属の論理を用いるのか、特定の財産権を承認せずに、契約的な手法で移転と帰属の状況を法的に把握するのか、大きな対立が存在しており、各見解から暗号資産の担保化の手法や課題が異なることを文献調査によって確認した。同時に、暗号資産と同種の技術で構成されるNFTについても、文献調査の手法を用い、私法領域における議論状況を確認し、暗号資産と対比する形で論文で整理した。 最後に、以上から前記③の知見を得た。すなわち、暗号資産に対する社会の評価は変化し、決済利用と異なる他の目的(財の蓄積や資金調達等)で用いられる存在となっており、この文脈で理解するなら、暗号資産(場合によってはNFT)の担保化は社会の中で一定の利用可能性を見いだし得るのが現状である。ただし、担保化の法的手法は様々で、暗号資産の法的性質も前記②のとおり様々である以上、安定的な資金調達を実現する担保として適正なものとするためには、暗号資産やNFTの私法上の性質をある程度明確化し、その担保化のために用いる法制度の道筋をつけることが課題となることを論文で示した(たとえば、NFTの法的性質が明確でなければ、その譲渡の法的仕組みも明らかにならず、譲渡担保を利用する際の具体的な検討もできない)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
暗号資産及びそれと同種技術を用いたNFTにつき、物的担保(質権のほか譲渡担保も含む)として資金調達に用いる手法や課題を文献・聞取りにて調査し、それらを前提に検討を進めており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、日本における暗号資産・NFTの法制度をさらに検討した上で、日本の担保制度の母法(フランス法)において、以上の財に関する文献(体系書・雑誌)及び聞取り調査を実施し、日本法の課題解決手段についての示唆を得る。
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