研究課題/領域番号 |
22K01273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
森田 憲右 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (60638344)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 弁護士 / 中立公正 / 利益相反 / 誠実義務 / 依頼者 / 弁護士法規 / 中立公正義務 |
研究開始時の研究の概要 |
弁護士の中立公正義務は,弁護士が依頼者に対して善管注意義務や誠実義務を負うことから,裁判官の中立公正義務とは異なる。しかし,弁護士が依頼者を一義的に措定できないとき,例えば,遺言執行者や破産管財人の場合などでは,弁護士の中立公正義務が問題となる懲戒事例がある。これらは,利益相反規制において議論されているが,弁護士の中立性・公正性の内実はマジックワードと化している。本研究では,主に弁護士の職務の公正を利益相反規制の根拠とする大陸法系の欧州連合弁護士倫理法典の利益相反規定を中心に,その具体的事例をとおして,職務の公正性・中立性を理論的に分析検討する。
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研究実績の概要 |
研究課題である「弁護士の中立公正義務の理論的分析」について,その研究成果の一部を筑波ロー・ジャーナル33号(2022年12月)(筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院ビジネス科学研究群法学学位プログラム・同法曹専攻発行,筑波ロー・ジャーナル編集委員会編集)225頁~249頁において,公表した。 その内容は,冒頭に問題意識と結論の概要(弁護士法1条の誠実義務との関係を含む。)を述べた上で,導入として,弁護士の中立公正をめぐる懲戒事例を挙げて,その中から問題意識・検討課題を抽出し,中立公正さが問題となる場面は利益相反が問題となる場面であることを論じ,それを踏まえて,利益相反が問題となる場面についてドイツ,EU,米国の弁護士法規がいずれも「依頼者」を基点としていることを確認し,抽象的な概念である中立公正を「依頼者」を基点として類型化することを試みたものである。 本研究の目的は,弁護士の中立公正義務の根拠と内実について,主に弁護士の職務の公正を利益相反規制の根拠とするドイツ,EU,英国の法規制と比較しながら,その具体的事例をとおして,職務の公正性・中立性を明らかにし,これが我が国の弁護士の中立公正義務の内実にどのように影響するのかを分析・検討するものであるところ,上記研究成果は同目的に適う研究の端緒として位置づけられ,向後,類型ごとに具体的な検討を行う作業に入る予定であることから,研究実施計画は着実に実現しつつある。 弁護士の中立性や公正性の根拠や内実については,誠実義務の理解との関係を含めて,いまだ積極的な理論的分析がなされていない。新たな職域に進出する弁護士に求められる倫理や法規制を検討する基礎となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果として,論説の冒頭に問題意識と結論の概要(弁護士法1条の誠実義務との関係を含む。)を述べて,その方針を示すことができた。横断的な課題であることから,類型ごとの具体的な検討をすることを要するが,研究の方針がより具体的に明らかになってきている。
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今後の研究の推進方策 |
類型化に奏功したことから,類型ごとの具体的な検討をして全体の論証を構築する見通しがある。 また,当初の見通しに加え,我が国においても類似案件において懲戒事例が累積していることや,海外に事例についても調査検討を怠りなく行うことにより,研究成果の妥当領域を検証するとともに発展的な検討を行いたい。
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