研究課題/領域番号 |
22K01274
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 いつ子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00262139)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | AI自動生成・処理 / 偽情報・フェイクニュース / 言論・表現の自由 / 刑事罰 / 差止命令 / 名誉毀損・侮辱 / SNS・プラットフォーム / イノベーション / デジタル統治 / 人工知能(AI) / 情報権力分立 / データ・フェアネス / 名誉毀損・侮辱・誹謗中傷 / プライバシー / 著作権 / 情報法 / 人工知能 / データ / アルゴリズム / デジタルプラットフォーム |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、社会のデジタル化が一層加速し、人工知能(AI)等がデジタル変革(DX)を促し、グローバルな規模でのデジタル統治の覇権争いが顕在化している。そうした中で、本研究は、情報法の(1)基底的な諸価値・規範、(2)個別具体的な諸課題、及び(3)前掲の(1)・(2)をとりまとめて体系化する理論枠組みやデザイン等に関する考察を、自由・共創等を鍵概念として、日米欧比較制度分析の方法を用いて進めることにより、申請者のこれまでの情報法研究をさらに深化・拡充・体系化することを目指している。
|
研究実績の概要 |
本研究期間の2年目である本年度は、交付申請書に記した研究実施計画における3つの柱のいずれにも進展があった。本年度の成果として、主に以下の2つが挙げられる。 第1に、国際憲法学会・世界大会にて昨年度に行った研究報告の一部を展開し、デジタル環境での名誉毀損等への対応に関する日米欧での議論動向をさらに分析した。例えば、アメリカ法の動向として、一部の州では残存している刑事名誉毀損が、特に第1審・事実審裁判所のレベルでは復活しつつあり、また、偽情報・フェイクニュース対策に重点を置いた名誉毀損訴訟が増加傾向にあることに加えて、事実審では名誉毀損・ハラスメント等を理由とする差止命令の事例数の増加も見られる。 こうした動向から引き出せる、今後の日本法への示唆として、特に次の2点を指摘した。すなわち、情報化の進化形とも言えるデジタル化やAIを用いた自動生成・処理化に伴う社会変容が進む中で、(1)本来的に国境を越える言論・表現・情報・データがもたらす深刻な被害に対しては、相応の越境性を備えた救済のための法のデザインが重要となる。その上で、(2)言論・表現の自由にとっては苛烈性が否めない刑事罰及び差止命令について、自由と時に緊張関係に立つフェアネスをともに実現する形で援用するには、一定の厳格かつ明確な要件の下で、あくまでも最後の頼みの綱となる予備(fallback)として位置づけておく必要がある(後掲欄の『憲法研究』掲載論稿を参照)。 第2に、本年度に、共編著書『インターネット法』の中国語版が、北京大学出版社から上梓された。これにより、本研究の中心的な問いの一つである、イノベーションを象徴する革新的・創造的技術の発展に伴い表現活動・情報流通の自由とその対抗利益との間の調整におけるバランスをいかに図るか等について、海外からフィードバックを得る手がかりとなった(後掲欄の『网絡法』第2章を参照)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限がかなり緩和され、対面形式での学会活動等も次第に再開されたことにより、関係の研究者・実務者との意見交換等が円滑となった。また同時に、特に海外からの情報収集等には、オンライン形式でのコミュニケーションをできる限り活用した。これらの活動を通じて、前掲の「研究実績の概要」欄に記載したように、予想以上の研究の進展と成果があった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、前掲の「研究実績の概要」欄及び「現在までの進捗状況」欄に記載したように、当初の計画以上の研究の進展と成果があった。そこで、次年度以降も、関係の研究者・実務者からの助言・指導等を得ながら、基本的には、交付申請書に記載した研究実施計画に基づいて、本研究を進めることとする。
|