研究課題/領域番号 |
22K01281
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
原田 伸一朗 静岡大学, 情報学部, 教授 (90547944)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | アバター / バーチャルYouTuber / VTuber / メタバース / 人格権 / 著作権 / 誹謗中傷 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アバターの産業的・文化的な活用が急速に広がる中、法学的なアプローチでアバターに関わる社会規範を探究するものである。アバターを「人間・ロボット・キャラクター融合エージェント」という新たな「人間像」「法主体」として定位し、その特質を探索することを通じて、アバターに固有の法理・法領域を開拓することを目標とする。そのためのステップとして、アバターに対する侵害(顕著なものとして、バーチャルYouTuberに対する誹謗中傷や著作権侵害)が相次いでいる現状を念頭に、特にバーチャルアバターに係る法主体の人格権および財産権の保護に関する基礎理論を構築することを目指すものである。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、コロナ禍が一定の終息を見たこともあり、アバター・メタバースに対する社会の関心は、より実装や将来性を意識したものにシフトしてきたように思われる。アバター・メタバースに関する法・政策課題の検討も一巡した感もあるが、新たな裁判例の登場等の形で法的議論が今後より先鋭化する可能性もある。そのような状況の中、今年度は、これまでの議論を総括し、かつ今後の論点・展望を示すような研究を中心に進めた。 特に、バーチャルYouTuber(VTuber)については、本年度も若年層を中心に衰えぬ人気を見せているが、同時に、VTuberに対する誹謗中傷問題も、社会的な耳目を集めるほど喫緊の課題となっている。この問題について、現時点までに蓄積された裁判例を網羅的に検討し、VTuberならではの法的論点を理論的に提示する論稿を発表した。 また、本年度中には公刊されていないが、「仮想現実とプライバシー」「バーチャリティと法」に関して、それらの問題の構図・全体像を示す鳥瞰図となるべき書籍原稿の執筆をおこなったことも、本年度に特に注力した取り組みである。 さらに、キャラクター・アバターのパブリシティについて萌芽的な論点を提示するほか、アバターの人格権、アバターのインタラクション、AIアバター等に関する研究発表・講演・ワークショップ等をおこなった。 その他、(一社)日本デジタル空間経済連盟にてメタバース・リテラシー検討委員会委員を務め、メタバースユーザーおよび事業者向けの「メタバース・リテラシー・ガイドブック」(2024年1月公表)の作成に携わった。こうした社会連携の成果にも、本研究を通して得たアバター・メタバースに関する知見が活かされている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度と同程度、アバター・メタバースに関する研究発表・講演・ワークショップ等をおこなうことができた。また、アバター・メタバースに関する書籍原稿の執筆や、ガイドブックの作成など、研究を進展させる機会に恵まれた。 特に、本研究の背景にある「バーチャリティと法」に対する長年の問題意識・研究経過を総括する書籍原稿の執筆に注力することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
アバターの人格的側面を代表する誹謗中傷問題に引き続き取り組むとともに、財産的側面として、特にアバターの人格的諸要素のパブリシティについて、実態および法理論面での研究を進める。 また、生成AIをアバター・メタバースに応用する技術の進展・実装を踏まえ、新たな課題とアプローチの探究を進める。
|