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裁判所による著作権法の積極的な解釈ー権利制限規定のあり方の議論に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22K01292
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05070:新領域法学関連
研究機関神奈川大学

研究代表者

渕 麻依子  神奈川大学, 法学部, 准教授 (50771713)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード法解釈 / 著作権 / 権利制限規定 / 著作権法の解釈 / 柔軟な解釈 / 著作権法
研究開始時の研究の概要

日本の著作権法においては、アメリカのフェア・ユース規定を参考に、新しく多様な利用態様にも柔軟に対応できるような一般的な権利制限規定の導入が試みられてきたが実現に至っていない。諸外国も同様の問題を抱えているが、フェア・ユース規定を入れるべきかという従来の議論に加え、裁判所が既存の権利制限規定を積極的に解釈することにより問題を解決できるのではないかという議論も生じている。本研究は、裁判所が著作権法の解釈を行う際に何をどこまで考慮することができるのかについて、各国の議論を比較し、歴史的・横断的に検討することによって、今後の権利制限規定のあり方について総合的なヴィジョンを描くものである。

研究実績の概要

本研究は、アメリカのフェア・ユース規定をモデルとする一般的な権利制限規定を著作権法に導入するための議論を重ねてきたが実現に至っていないというわが国の状況に対して、裁判所が既存の権利制限規定をどれほど積極的に解釈できるのかを論じることにより問題を解決できるのではないかという見通しにより研究を行うものである。
2023年度には、まず「権利制限法理の歴史的展開(1)」が刊行された。本論文では、本研究課題がなぜ必要とされるかの問題意識について、これまでの日本における研究状況もふまえて整理を行ったものである。あわせて、前年度に引き続き、著作権法にかぎらずひろく知的財産法に関して日本の裁判所がどのような(特に積極的な)解釈を行ってきたかについての検討を進めた。公表論文のうち、「著作権侵害とデジタルプラットフォームの責任―プロバイダの責任に関する国際的動向」では、第一には表題の通りプロバイダの責任に関する国際的な比較を行うものであるが、その中でも特に日本について、裁判所が積極的・大胆な判断を行うことにより侵害の主体を拡張的に解釈してきたことを紹介した。同じく、裁判所の積極的な判断という観点から、いわゆる北朝鮮映画事件に関する最高裁の判断について「Intellectual Property and Nationality」というテーマで国際学会での報告を行い、研究上の手応えを得た。
また、「著作者人格権と遺族ー残された者は誰のために著作者人格権を行使するのか?」では、故人の著作者人格権の遺族による行使を素材に、歴史的経緯や規定の本質を踏まえたうえで、社会的な要請にかなう著作権法の規定の積極的な解釈の必要性・可能性を論じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究会への参加や資料収集、論文の執筆・公表を含めて予定通り順調に研究を進めている。また、2023年度は国際学会における報告が実現したことも大きな成果であった。

今後の研究の推進方策

2024年度も当初の研究計画にしたがい研究を進めるが、特に取りまとめの年度にあたることから、他の研究者の批判やコメントを受ける機会を確保したい。そのための国内外への出張を適宜行う。また、そこから得られたフィードバックに基づいた論文を執筆することによって本研究課題の成果とする予定である。また、既に第1回分を公表している「権利制限法理の歴史的展開」についても、権利制限規定の積極的な解釈が必要とされる背景・状況をさらに丁寧に整理し分析を加えた上で公表していく予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 著作権侵害とデジタルプラットフォームの責任 : プロバイダの責任に関する国際的動向2023

    • 著者名/発表者名
      渕 麻依子
    • 雑誌名

      国際法外交雑誌

      巻: 122巻3号 ページ: 305-324

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 著作者人格権と遺族ー残された者は誰のために著作者人格権を行使するのか?2023

    • 著者名/発表者名
      渕 麻依子
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95巻5号 ページ: 89-94

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 権利制限法理の歴史的展開(1)2023

    • 著者名/発表者名
      渕 麻依子
    • 雑誌名

      神奈川法学

      巻: 55巻3号 ページ: 582-600

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 判例研究 FEST VAINQUEUR事件 ロックバンドの名称にパブリシティ権を認めた事例[東京高等裁判所令和2.7.10決定]2023

    • 著者名/発表者名
      渕 麻依子
    • 雑誌名

      Law & Technology

      巻: 98 ページ: 72-80

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 取引の対象としての商標 : 商標の機能を考える手がかりとして2022

    • 著者名/発表者名
      渕麻依子
    • 雑誌名

      神戸法學雜誌

      巻: 72 号: 3 ページ: 33-55

    • DOI

      10.24546/0100477969

    • ISSN
      0452-2400
    • 年月日
      2022-12-23
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Intellectual Property and Nationality2023

    • 著者名/発表者名
      Maiko FUCHI
    • 学会等名
      The 2023 ICON-S Annual Conference, Parallel Session "The Intersection of Nationality and the Rights of Individuals: A Study of Japanese Law and Cases"
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ロックバンドの名称にパブリシティ権を認めた事例〔FEST VAINQUEUR事件〕2022

    • 著者名/発表者名
      渕 麻依子
    • 学会等名
      知的財産判例研究会(商事法務・大阪)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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