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DV事案における加害者対応と被害者支援の交錯~司法の新しい役割

研究課題

研究課題/領域番号 22K01295
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05070:新領域法学関連
研究機関関西福祉科学大学

研究代表者

松村 歌子  関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (60434875)

研究分担者 井上 匡子  神奈川大学, 法学部, 教授 (10222291)
宮園 久栄  東洋学園大学, 人間科学部, 教授 (40348446)
清末 愛砂  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00432427)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードドメスティック・バイオレンス / 被害者支援 / 加害者プログラム / 裁判所 / DVコート / ドメスティックバイオレンス
研究開始時の研究の概要

DVは、再犯・再加害の可能性が高く、私的な領域の中での暴力であるからこそ、加害者への働きかけが大変重要となるのに、再犯防止計画からも漏れ、従来の刑事司法的対応では真の問題解決につながってこなかった。裁判所命令による司法の関与のもとで、被害者支援の両輪として、加害者プログラムの実施が継続的に監視されることが望ましい。そこで、本研究では、諸外国の法実践を参考にしながら、DV再加害防止に向けた法制度の構築や司法の果たすべき役割を検討し、DV事案における加害者対応と被害者支援の交錯を検討する。

研究実績の概要

日本のDV施策においては、被害者の保護と安全確保が重視され、「逃げる支援」が中心となり、加害者に対しては、刑事事件で対処する以外は公的な働きかけがない状態である。コロナ禍においては、緊急事態宣言の発出やテレワーク推進の結果、より被害が潜在化し、さらには支援の規模が縮小してしまった。令和2年4月から始まった内閣府によるDV相談プラス事業により、これまでの電話・面談中心であった支援体制が、SNSを用いたチャット相談、メール相談、外国語相談、男性相談、直接のつなぎ支援など多様な方法に拡大したことにより、社会にDVの認知を広め、被害の掘り起こしの一助となった。特に、SNSチャット相談、メール相談の窓口を設けたことで、対面や電話での相談を敬遠しがちな若年層からの相談の掘り起こしができている。また相談内容も親密な間柄からの暴力にとどまらず、家庭の中で起きている暴力的な言動に耐えかねた家族からの相談も増えている。どこに相談したらいいか分からない、行政に相談したが解決に結びつかなかったという人たちの受け皿にもなりうる取組みであるともいえる。相談内容にはモラルハラスメントや精神的暴力、言葉の暴力に該当するものも多く散見され、精神的暴力をDVの定義に入れ、保護命令の対象にすべきであるとの要望が被害者団体からも多く出されており、DV防止法の改正につながった。令和6(2024)年4月からは保護命令の保護の対象に精神的暴力も盛り込まれただけでなく、困難を抱える女性支援法も施行されており、今後の女性支援の状況に注目したい。予算や所管の関係で、あまりにも間口を広げた相談対応はできないにしても、関連諸機関が分野横断的に連携を取り、民間団体と協調して支援を行い、必要な資源につなぐことが求められる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年5月からは移動制限も緩和され、オンラインと対面での調査や研究活動を並行することで、効率よく研究を進めることができるようになった。
2023年度は、物価の高騰及び訪問先との調整の問題で、予定していたカナダ調査は見送ったが、韓国調査、台湾調査を実施することができたほか、日本女性学会、司法福祉学会、ジェンダー法学会において報告の機会が得られた。

今後の研究の推進方策

今後も、国内外の加害者プログラム実施団体や被害者支援団体への聞き取り調査や、関連する学会やシンポジウム・研究会に参加・報告し、情報収集及び関連する研究者や支援者との交流を深め、意見交換を行う等をして研究を進めていきたい。
司法福祉学会、ジェンダー法学会、子ども虐待防止学会、亜細亜女性法学会、被害者学会など多くの学会に参加し、最新の知見を学ぶとともに、他の関連する研究者との交流を深めていく予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (41件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (18件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] DV事案に関して、日本型の問題解決型裁判所の導入はできないか~DV事案の現状理解と行政書士業務との関連について2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 雑誌名

      行政書士大阪

      巻: 2023年8・9月号 ページ: 22-26

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「逃げないDV」対応としての加害者プログラムの導入を2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 雑誌名

      ジェンダー法研究

      巻: 10号 ページ: 123-134

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DV加害者プログラムを現行制度の中でどう位置付けるか2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子・清末愛砂・宮園久栄・井上匡子
    • 雑誌名

      司法福祉学研究

      巻: 23号 ページ: 168-172

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 受刑者を親にもつ子どものためにできること~子どもたちのための冊子づくり2023

    • 著者名/発表者名
      矢野恵美・松村歌子・立石直子・齋藤実
    • 雑誌名

      司法福祉学研究

      巻: 23号 ページ: 182-186

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DV防止法の改正と今後の施策の展開2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 雑誌名

      月刊福祉

      巻: 令和5年7月号 ページ: 46-49

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DV防止法制の改革課題2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 雑誌名

      ジェンダー法研究

      巻: 10号 ページ: 97-107

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DVをめぐる新たな制度の構築に向けての一試論:日本型DVコートを目指して2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      法学新報

      巻: 129 ページ: 665-690

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Vulnerability(バルネラビリティ)2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      被害者学研究

      巻: 32 ページ: 1-2

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 家庭裁判所を中核とした日本型DVコートを目指して2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      ジェンダー法研究

      巻: 10号 ページ: 137-152

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 非暴力的な社会を構築するためのエッセンスとしての憲法24条2023

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      家庭科研究

      巻: 374号 ページ: 311-324

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 憲法9条の解釈を深化させる憲法24条の平和主義的意義-大規模な軍事拡張路線を踏まえて2023

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      憲法研究

      巻: 12号 ページ: 91-101

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] DVをめぐる新たな制度の構築に向けての一試論~日本型DVコートを目指して2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      法学新報

      巻: 129巻6・7号 ページ: 665-690

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 加害者対応に関する国の取組みと実効的な被害者支援のために2022

    • 著者名/発表者名
      松村歌子、宮園久栄、清末愛砂、井上匡子
    • 雑誌名

      司法福祉学研究

      巻: 22 ページ: 133-142

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 女性犯罪者の社会復帰に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      犯罪学雑誌

      巻: 88巻4号 ページ: 124-131

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 憲法24条2項に定める「個人の尊厳」を立法に生かす意義2022

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      ジェンダーと法

      巻: 19号 ページ: 24-35

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 改憲の動きとジェンダー~平和主義と民主主義の危機2022

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      女性白書

      巻: 2022年号 ページ: 127-131

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 親が拘禁されている子の支援と社会的養護2022

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 雑誌名

      Asian Women Law

      巻: 25 ページ: 99-120

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 日本における女性犯罪の実態とその課題2022

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 雑誌名

      Asian Women Law

      巻: 25 ページ: 121-136

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] DV防止法2023改正と課題~再加害防止のための施策の必要性2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 学会等名
      司法福祉学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 家庭裁判所を中核に据えた日本型DVコートを目指して2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 学会等名
      司法福祉学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] DV法2023改正とDV施策のこれから2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 学会等名
      司法福祉学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 児童虐待・DVの現状と子ども中心の支援の必要性2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 学会等名
      司法福祉学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 試行実施から本実施に向けて~検討と課題2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 学会等名
      日本女性学会2023年学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 子ども向け法教育プログラムのこれから:試行実施から本実施に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 学会等名
      司法福祉学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] DV加害者への働きかけのあり方と司法の役割:DV防止法の課題2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 学会等名
      ジェンダー法学会2023年全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 面会交流ヒアリング調査の中間報告~必要な支援・法制度のあり方を考える<ケースの紹介>2022

    • 著者名/発表者名
      高田恭子・松村歌子
    • 学会等名
      日本女性学会ワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 調査の意義と課題:Access to Justiceからの評価と改善策2022

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 学会等名
      日本女性学会ワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本におけるDV加害者プログラムの履行と司法の役割2022

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 学会等名
      神奈川大学研究助成公開研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 効果的なDV施策にするために必要なこと2022

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 学会等名
      神奈川大学研究助成公開研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Support for Children whose parents are Detained and Social Care.2022

    • 著者名/発表者名
      Utako MATSUMURA
    • 学会等名
      亜細亜女性法学会・韓国女性弁護士学会共同学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本における女性犯罪の実態とその課題2022

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 学会等名
      亜細亜女性法学会・韓国女性弁護士学会共同学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] DV施策における裁判所の役割と加害者プログラムの実施のあり方2022

    • 著者名/発表者名
      松村歌子
    • 学会等名
      司法福祉学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 日本型DVコートを目指して2022

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄
    • 学会等名
      司法福祉学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] シンガポールの司法改革とメディエーション制度の強化~DV被害者保護への影響2022

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 学会等名
      司法福祉学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 被害者支援と加害者アプローチの交錯と司法の役割~次に進むための理論的整理として2022

    • 著者名/発表者名
      井上匡子
    • 学会等名
      司法福祉学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 「アメリカのDVコートの概要と日本型DVコート導入の必要性」(『岐路に立つ市民の司法参加制度~英米の陪審制度から日本の裁判員制度を考える』)2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子(家本真実・松村歌子・竹部晴美編著)
    • 総ページ数
      524
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      9784535527201
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「法の基礎知識」「憲法」「民法」(『権利擁護を支える法制度』)2023

    • 著者名/発表者名
      松村歌子(都村尚子編著)
    • 総ページ数
      226
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623096060
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「フェミニズムと政治理論」(『現代政治理論 新版補訂版』)2023

    • 著者名/発表者名
      井上匡子(川崎修・杉田敦編著)
    • 総ページ数
      362
    • 出版者
      有斐閣アルマ
    • ISBN
      9784641222205
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「今さらながら、今だからこその、DV防止法改正」「性暴力被害の実態-全国の婦人相談員への調査結果から」(『女性犯罪研究の新たな展開 : 岩井宜子先生傘寿・安部哲夫先生古稀記念論文集』 )2023

    • 著者名/発表者名
      宮園久栄(後藤弘子・宮園久栄・渡邊和美・柴田守編著)
    • 総ページ数
      486
    • 出版者
      尚学社
    • ISBN
      9784860311841
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 「ジェンダー視点から考えるCOVID-19対策-ステイホーム推奨と戦場化する家族」(『世界と日本のCOVID-19対応-立憲主義の視点から考える-』)2023

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂(石村修・稲正樹・植野妙実子・永山茂樹編著)
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      敬文堂
    • ISBN
      9784767002552
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 第2章「社会理論の鍵概念としてのケア;ケアの倫理の可能性と課題」『相談支援の法的構造~「地域共生社会」構想の理論分析』2022

    • 著者名/発表者名
      井上匡子(菊池馨実編著)
    • 総ページ数
      344
    • 出版者
      信山社
    • ISBN
      9784589041593
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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