研究課題/領域番号 |
22K01298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 幹根 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (30295373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 公共政策 / 政府間関係 / 地方自治体 / 規制政策 / ジェンダー主流化 / 領域政治 / アルコール / タバコ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の規制政策において非権力的手法、インフォーマルな手法が多用されている点、および規制者のみならず規制対象の利害関係者も非権力的手法を選好する傾向がある点に着眼し、規制政策を形成・執行する政府がどのような手法を通じて、実効性を確保するのかを、政府と諸団体との相互作用に留意しつつ、公共政策が各レベルの政府によって同化(convergence)/分化(divergence)する構図を、日本とイギリスとのアルコール・タバコ規制政策の比較研究を通じて明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、理論面、実証面の比較研究を行うに際して手がかりとしているポール・ケアニー教授の研究を考察し、その中で最新の研究成果である欧州諸国における不平等政策の比較研究から有益な示唆を得ることができた。同研究は、当該研究に直接関係する保健医療政策に加えて、教育、および女性主流化(gender mainstreaming)政策における比較研究であり、欧州連合―国―地域政府の重層構造と、領域(territory)対機能(function)の関係性に着目しつつ、政策学習・移転がどのように行われるかを考察しており、今後の研究を発展させるための有益な分析視角を得ることができた。実証面でも、EUによるジェンダー主流化政策では、当初、伝統的にハードな手法が用いられてきた経緯があり、その後、加盟国に対しての勧告の発行やベンチマークなどのソフトな手法が用いられるようになるなど、ジェンダー主流化政策の実践では、ハードな法的な手法よりもソフトな手法が志向される傾向が見られる点が注目に値する。 実は、日本の地方自治体における女性議員に対するアンケート調査研究においても、「クオータ制・パリテ法」による法的な義務付けによって候補者または議員を増加させる手法よりも、「社会全体の啓発」、「児童・生徒・学生に対する主権者教育」、「各議会の努力による制度整備」など、ソフト志向が見られる。このように法的なルールを一律に課すハードな手法よりも、対象者の理解を得ながら自発的に政策を遵守するソフトな手法が志向される点に関して、日本と欧州との共通点のみならず、女性の政治参加を促進させる政策と受動喫煙防止政策に共通する特徴が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、理論面、実証面の比較研究を行うに際して手がかりとしているポール・ケアニー教授の研究を考察し、その中で最新の研究成果である欧州諸国における不平等政策の比較研究から研究の方法論に関して有益な示唆を得ることができた点が大きい。また、今年度すでにケアニー教授とも意見交換を行う機会を持つことができたため、方法論および事例面においての理解を深めつつ、次年度以降の研究の遂行が期待できる。 第二に、タバコ、アルコール規制に関する公衆衛生分野の規制政策に止まらず、ジェンダー主流化政策という事例を加えることにより、日欧の比較、受動喫煙防止政策との比較を通じて共通性を明らかにすることができたことは、今後の研究の進展にとっての可能性を広げるためにも有益であった。無論、現象面の共通性の背景に存在する要因や、政治的・社会的な文脈や構造の相違にも留意する必要があり、次年度以降の課題としたい。 以上、検討事例とする政策分野を新たに加えたことは、本研究の成果の一般性、普遍性を追求するために有益であるのみならず、本研究が当初から想定していた方法論の妥当性を検証する観点からも望ましいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を発展させる形で、法的な公式的な規制よりもソフトかつインフォーマルな手法による自発的な行動変容を促す傾向の存在、さらには、本研究が当初から方法論として着目していた行動経済学の知見を活かす可能性に注目しながら、事例研究、理論研究の双方を推進させてゆく。
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