研究課題/領域番号 |
22K01298
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 幹根 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (30295373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 規制政策 / タバコ / アルコール / イギリス / スコットランド / 領域政治 / 公共政策 / 政府間関係 / 地方自治体 / ジェンダー主流化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の規制政策において非権力的手法、インフォーマルな手法が多用されている点、および規制者のみならず規制対象の利害関係者も非権力的手法を選好する傾向がある点に着眼し、規制政策を形成・執行する政府がどのような手法を通じて、実効性を確保するのかを、政府と諸団体との相互作用に留意しつつ、公共政策が各レベルの政府によって同化(convergence)/分化(divergence)する構図を、日本とイギリスとのアルコール・タバコ規制政策の比較研究を通じて明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、イギリスのタバコ・アルコール規制政策の動向を中心に実証的に考察した。イギリス政府のスナク首相は2009年以降に出生した人の紙巻タバコ購入をイングランドにおいて禁止する法案の制定を表明し、立法化が具体化している。喫煙自体が非合法化されるわけではないが、喫煙可能な年齢を毎年一歳ずつ引き上げることによって、将来的には実質的に紙巻きタバコの販売禁止が実現することになる。なお、保健医療分野の立法はスコットランド議会に権限移譲されているので、スコットランドが喫煙年齢引き上げの立法化をイングランドよりも先行して実施するのかが論点となる。また、加熱式タバコに関して、特に一回限りの使い捨てのタイプが、児童・生徒の喫煙の助長、使用後のごみとしての処分が問題化している。スコットランド政府は2025年4月から販売禁止する立法化を具体化している。この法案も、同様の立法化を検討しているイギリス政府との関係が焦点となる。 アルコールの規制政策では、スコットランドが2018年に導入した最低販売価格法を改正し、一ユニット当たりの最低価格を50ペンスから65ペンスへの引き上げを決定した。その背景には、アルコールの消費が減少するなど2018年法の政策効果を認めつつ、インフレに対応した価格の引き上げを行うなど実効性を高める観点から、改正を行った。アルコールの最低販売価格法はイングランドには適用されておらず、ウェールズは2020年に一ユニット当たり50ペンスでの規制を導入しており、領域間の差異が顕在化している。 このように、イギリスでは、アルコール規制に関しては領域間の分化が見られる一方、タバコ規制に関しては移譲権限にもかかわらず同化の傾向が見られる。その異同に関して、政策アイデア、資源、制度、政策環境などの諸要因に注目しつつ、次年度以降いっそうの分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はイギリスにおいてタバコおよびアルコールの規制政策に新たな立法化の動向が見られたことから、その動向を中心とした事例研究を行うことによって成果を得た。一方で、コロナウィルス感染対策の影響から地方自治体の保健衛生担当部局等に対する調査を慎重に行うよう情勢を見極めていたことから、日本における規制政策の検討がやや遅れている。なお、文献調査等は継続的に行っており、例えば福島市における受動喫煙防止条例の実証研究を参考に、地方自治体の独自性の多寡、条例の実効性、条例違反の実態、自治体による罰則適用の対応戦略に注目することの有意性を引き出しており、こうした知見を活かしつつ、次年度以降、他地域の状況把握に努めるよう留意する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を発展させる形で、規制政策が領域的に分化(divergence)と同化(convergence)を生じさせる政策に注目しながら、事例研究、理論研究の双方を推進させてゆく。
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