研究課題/領域番号 |
22K01325
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
荒木田 岳 福島大学, 行政政策学類, 教授 (70313434)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 小野組 / 古河市兵衛 / 佐野理八 / 瀬川安五郎 / 村井定吉 / 二本松製糸場 / 草倉銅山 / 民権運動 / 福島第六国立銀行 / 吉田藩 / 丸屋商社 / 杉本正徳 / 鈴木駅次 / 中村道太 / 福沢諭吉 / 大隈重信 / 国立銀行 / 福島 / 政治史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、第六国立銀行が社会の近代化に果たした役割を、歴史的な流れと、空間的な広がりの中から明らかにしたい。すなわち、いかなる人々が、どういういきさつで、何を目的として第六国立銀行を立ち上げたのかということである。その分析によれば、銀行の史的文脈や政策適合性如何がわかる。また、最終的に、第六国立銀行は旧熊本藩主・細川家に買い取られ、安田銀行に吸収されるが、一連の流れを分析する中で、当該銀行の果たした歴史的な役割が明らかになるはずである。
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研究実績の概要 |
研究2年目となる2023年度は、2つの方向で研究を深めようとした。一つの方向としては、福島第六国立銀行の旧山形藩人脈をたどり、この銀行を創業した三河・丸屋人脈を駆逐して、山形人脈が第六銀行で主要な地位を占めていく過程を検証しようとした。もう一つの方向は、福島第六国立銀行に先行する、この地域の金融のあり方の検討である。 前者は「創業後の変化を検証する作業」、後者は「創業前の現状を確認する作業」という関係になるが、結果として、2023年度は後者の研究を実施することになった。その理由は、前者のキーパーソン(村井定吉)に関する調査が、想像以上に困難をきわめたためである。 したがって、2023年度は、福島県地域(旧福島県、旧若松県、旧磐崎県)の府県為替方を担当した小野組について調査を深め、その人脈が第六国立銀行において、経営の上でも資金(株券購入)の上でも主要な役割を果たした点について明らかにした。さらに、旧小野組の東北地方の番頭たちは、小野組閉店後も製糸工場の経営や鉱山開発、さらには民権運動の担い手となり、国立銀行の創立ばかりでなく、地域振興の上で大きな役割を果たしたことがわかった。 また、府県の指定金融機関ともいうべき「府県為替方」について、為替三組への委任から廃止(小野組、島田組閉店による貢租収納委任の廃止)までを論文にまとめた。為替三組の府県為替方登用は、貢米収納からその換金、国庫への納入により大蔵省の省力化・効率化に資すると考えられたが、物価の高騰や国税納付の遅れ、目減りなど、財政金融の脅威になっていき、地租改正の目途がたったのちに小野・島田両組の廃止が行われた。豪商の廃止を行政学研究の分野に架橋しえたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年は銀行の創立期の研究を行ったが、今年度はそれを受けて銀行の創立以前を研究した。今後は、銀行の創立以後の変化を追うという進行になるはずである。当初の計画と多少順番に前後ができたが、おおむね計画どおりの進行をしていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、松方デフレと明治十四年政変によって福島第六国立銀行の経営が悪化し、それをきっかけに操業を担った三河・丸屋人脈が退場し、新たに山形人脈が入ってくる辺りを検討する予定である。 その先は、明治20年代に入って、東京米商会所事件の余波を受け、福島第六国立銀行が銀行調査を経て営業停止に追い込まれ、その後、細川家に買われて肥後銀行になるまでを見通せればと考えている。
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