研究課題/領域番号 |
22K01335
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
砂金 祐年 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (00433574)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | NIMBY / 原子力発電所 / 原発再稼働 / 自治体間比較 / 意見書 / 地方自治 / 公共政策 / 地方議会 |
研究開始時の研究の概要 |
①原発再稼働をめぐる意見書の本文を収集する。 ②計量テキスト分析を用いて意見書の類型化しする。 ③原発再稼働をめぐる意見書に関する討論のテキストデータの収集、および議員や議会事務局職員へのヒアリングを実施する。 ④住民WEBアンケート調査を実施し、原発再稼働に対する住民の意識を調査する。 ⑤イベント・ヒストリー分析を実施し、原発の周辺地域は再稼働に反対し、中心と外部の地域は反対しない」という距離仮説、およびその他の独立変数の影響を検証する。
|
研究実績の概要 |
原子力発電所(原発)に関する紛争はこれまでNIMBYの典型と考えられてきた。だが原発をめぐる近年の状況、特に再稼働問題は、従来のNIMBYの概念では捉えきれない複雑さを持っている。このことが、再稼働をめぐる地域の合意形成を困難にする一因となっている。研究代表者(砂金)はこれまでの研究において、①NIMBYの概念を拡張し、②「原発再稼働についての態度は原発からの距離によって決まる」という仮説(距離仮説)を設定し、③東海第二原発をめぐる市町村議会の意見書の可決状況の計量分析、および④住民に対するWEBアンケートの計量分析によって検証した。そして⑤「原発の周辺地域は再稼働に反対し、中心と外部の地域は反対しない」という三環構造があることを示した。本研究は、この三環構造が東海第二原発以外の地域でも確認できるかを検証することを目的としている。 2023年度は、前年度に引き続き関連する先行研究等の文献を収集したほか、泊原発、東通原発、女川原発から100km圏内の136市町村を対象に下記の調査を行った。 【原発再稼働をめぐる意見書本文の収集】本研究の従属変数である「原発再稼働をめぐる意見書」の可決の有無を確認した。 【原発再稼働をめぐる意見書に関する討論のテキストデータの収集】各自治体の議会事務局のサイトを参照し、意見書の可決に先立つ討論の有無を確認した。確認できた場合は該当記事を収集した。 また地方議員が意見書をどのように捉え、利用しているかについての知見を得るための予備調査として、愛知県稲沢市議会議員および議会事務局職員へのヒアリングを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度における本研究課題の進捗状況は以下の二つを理由に「おおむね順調に進展している」と判断する。 第一に、インターネット上で議事録や議会だよりを公開している市町村については、情報収集とデータベース化が当初の計画通り順調に進展している。 第二に、新型コロナウイルスが5類に移行したことで訪問調査がしやすくなり、地方議員や議会事務局職員へのヒアリングを行うことができた。 一方、昨年度データを収集した北陸沿岸の原発地帯(志賀原発、敦賀原発、美浜原発、大飯原発、高浜原発)へのヒアリング調査については、2024年1月に発生した能登半島地震による被災地への負荷を考え自粛した。これらの地域へ赴いての現地調査は、復興状況を踏まえながら慎重に検討したい。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は以下の研究を進める予定である。 第一に、柏崎刈谷原発、浜松原発、島根原発、伊方原発、玄海原発、川内原発の100km圏内の市町村における「原発再稼働をめぐる意見書」の可決の有無を確認と、意見書の可決に先立つ討論の有無を確認を実施する予定である。 第二に、複数の地域に赴いて地方議員および議会事務局職員のヒアリングを実施する予定である。現在のところ茨城県取手市議会事務局元職員に対するヒアリングを依頼し承諾を得ている。 上記を通じて、原発再稼働をめぐる量的なデータの収集と質的な知見の蓄積に努めたい。
|