研究課題/領域番号 |
22K01345
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
山岸 敬和 南山大学, 国際教養学部, 教授 (00454405)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | オバマケア / COVID-19 / アメリカ医師会 / 連邦政府 / 歴史的制度論 / 政治学 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、アメリカでは医療アクセスの格差問題が未だ根深く残っていることが顕在化した。患者保護および医療費適正化法 (通称オバマケア)が成立してから11年目を迎え、医療保険制度改革は改めてバイデン政権で最重要争点の一つになった。
本研究は、政治と政策の関係性を分析する歴史的制度論に依拠しながら、同時に「経路依存性」と「決定的転機」に関する理論的発展に貢献しようとするものである。また、 アメリカ政治全体を理解するための新たな視座を提供し、比較研究を促し、ポスト・コロナの医療政策のあり方についての議論を深める事にも貢献できると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は、2010年に成立した患者保護および医療費適正化法(通称オバマケア)をめぐる政治的争いがどのように変化してきているのか、そして変化を引き起こすメカニズムについて明らかにすることである。その中でもが「外生的ショック」と考えられるパンデミックCOVID-19が及ぼした影響について特に注意を払い、COVID-19が政策発展の中の決定的転機(critical juncture)と考えられるかどうかについて論じる。本研究が行なおうとする理論的貢献は、歴史的制度論による政策の発展研究である。そのために、日本を含む他国との比較研究のための視座が重要となる。 2022年度は著書『Health Insurance Policy of Japan: Policy Development, Government, and the Japan Medical Association』(Cornell University Press)(単著)を出版した。これは、日本の明治時代からの医療保険政策の発展のメカニズムを、医師会と政府との関係性に焦点を当てて分析したものである。その中で、明治時代と第二次世界大戦を二つの決定的転機として捉え、その政治環境の変化の中で医師会が及ぼすことができた影響について論じた。また、限定的ではあるが、COVID-19が医療政策の変化に与えた影響についても論じた。 アメリカの医療政策については、笹川平和財団の研究会においてコラム「中間選挙の『地雷争点』としてのオバマケア」を発表した。この中では2022年の中間選挙において、オバマケアが民主・共和両党に取ってどのような争点であったのかについて論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進めるために2022年度は継続的に文献・資料調査を進めた。図書館やアメリカ研究センター所蔵には多くの文献・資料があるが、現在進行形の事象を研究対象としているため最新の情報を調査・収集する作業も行った。 また二回の現地での文献・資料調査と聞き取り調査を行うことができたことはとても重要であった。これまで継続して面談を重ねてきているAmerican Enterprise Instituteのジョー・アントス氏等との面談に加え、現地の日系メディアのジャーナリストたちと医療政策についての意見交換ができたのは有意義であった。 また、著書『Health Insurance Policy of Japan: Policy Development, Government, and the Japan Medical Association』を刊行できたことは、本研究を進めるために重要な比較の視座を提供するために重要である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、おおむね順調に進展していたと自己評価をしたが、今後はさらに活発に研究活動を進めていきたい。特に、アメリカではCOVID-19の影響を振り返る段階に入っており、特に長期的な政策変化を研究している研究者に対して面談を継続して行いたい。また聞き取り調査の新たな対象者を発掘していきたい。さらに、オバマケアをめぐる政治的争いの変化を相対的に研究するために、医療分野の他の政策、例えばメディケアやオピオイドの問題についても研究の視野に入れていきたいと考えている。 日本の医療保険政策についても、COVID-19が収束する中で、どのように政治過程が変化し、政策にどのような変化が出てきているのかについて引き続き注視したい。 2023年度も引き続き、現地における聞き取り調査を継続的に行い、その成果を論文やコラム等の形で発表していきたい。
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