研究課題/領域番号 |
22K01346
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
松本 俊太 名城大学, 法学部, 教授 (90424944)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | アメリカ連邦議会 / 政党組織 / 分極化 / 大統領制 / 議院内閣制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ連邦議会における二大政党の分極化について、その2つの側面である議員のイデオロギーの分極化と議会内政党の強化のうち、時代を経るにつれて後者が主になってきていること、そして、その帰結として、大統領与党が多数党のときに限り、大統領と議会指導部の合意に基づいて、超党派の合意を経ずに大統領の選挙公約を実現に移そうとする「疑似的な議院内閣制」が登場してきたことを論じる。これらを実証するための分析手法は、議員の党派的な行動や党派的な立法過程を説明する計量分析と、1970年代以降の議会内政党の発達の歴史とその帰結に関する比較事例研究の2つからなる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、アメリカ連邦議会における二大政党の分極化について、その2つの側面である議員のイデオロギーの分極化と議会内政党の強化のうち、時代を経るにつれて後者が主になってきていること、そして、その帰結として、大統領与党が多数党のときに限り、大統領と議会指導部の合意に基づいて、超党派の合意を経ずに大統領の選挙公約を実現に移そうとする「疑似的な議院内閣制」が登場してきたことを論じる。これらを実証するための分析手法は、議員の党派的な行動や党派的な立法過程を説明する計量分析と、1970年代以降の議会内政党の発達の歴史とその帰結に関する比較事例研究の2つからなる。 今年度の研究の進捗は、2点に要約される。1点目は、比較事例研究である。昨年度に投稿および査読を経た論文1本(英文・約9,000語)の公表と、研究の全体にまたがる内容の研究会報告を、それぞれ行った。また、下院の比較事例研究を行う論文の大部分を執筆した。こちらは、来年度の前半に公表する予定(日本語・約45,000字)である。 2点目は、計量分析を行うためのデータ・セットの作成である。こちらは、昨年度から行っている、かねてより作成を行っていたデータ・セットの拡張とクリーニングである。データ・セットに収められている情報は、1973年から2020年のアメリカ連邦議会に所属していた全ての上下両院議員について、議員の属性(年齢・性別など)・経歴(選挙区・当選回数・所属委員会・党内の役職など)・議会内での投票行動の記録などである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、補助事業期間内に、2つの形で研究成果を公表することを計画している。第1に、議員の党派的な行動や党派的な立法過程を説明するための計量分析を行った学術論文を執筆することである。第2に、主に1970年代以降の議会内政党の発達の歴史とその帰結に関する比較事例研究をまとめた単著を出版することである。 昨年度より、後者の計画を前倒しする研究計画に変更している。しかし、こちらについては、本年度予定していたアメリカ(テキサス州オースチン・マサチューセッツ州ボストン)での資料収集を見送った。理由は、本研究の申請を行った2021年夏頃には想定していなかった、アメリカ国内の物価高騰と円安である。これにより、4年間の研究期間内に2回予定していた、アメリカ行きの旅費支出の計画を見直さざるを得なくなった。結果、比較事例研究については、アメリカでの資料収集を行わずに研究成果を公表することも検討している。 前者についても、データ入力を行う研究補助員1名を雇用する計画にしているところ、この業務を行えるだけの英語の読解力とアメリカ政治研究の基礎知識を有する人材が、依然見つかっていない。研究補助員の確保は引き続き困難が予想されるが、万が一適任者が見つからない場合は、研究代表者のみでデータ入力を行わざるを得ない。より根本的には、データ分析・英語読解・政治学の基礎知識を備えた研究補助員を、如何に安定的に確保できる体制を確保するか、という、研究環境の問題に帰着する。
|
今後の研究の推進方策 |
4年間の研究期間のうち、残り2年間の研究計画は、以下のとおりである。 3年目は、本研究の2つの柱の1つである、比較事例研究を中心とした単著の執筆を終える(刊行は4年目にずれこむ可能性がある)。3年目の前半に、単著の元となる学術論文の公表がすべて終わる見通しであり、この作業と並行して、3年目の前半から後半にかけて、これまで本研究に関連して公表した論文の全てを、単著の形に再構成する作業を行う。 4年目は、もう1つの柱であるデータ分析に伴う論文の公表について、国内外で学会報告を行い、国内の学術雑誌への投稿を目指す。最大の懸案は、3年目から4年目にかけてデータセットの作成を計画しているところ、この作業に従事する研究補助員の確保である。研究補助員を予定どおり雇用できる場合、作業時間に対応する謝金の支出が伴う。その他、国内外で開催される学会や研究会に参加するための旅費の支出を予定している。他方、文献・コンピュータ・ソフトウェアといった消耗品の購入は大方遂行しているので、こちらに伴う支出は、限定的なものになると予想している。
|