研究課題/領域番号 |
22K01350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
松尾 秀哉 龍谷大学, 法学部, 教授 (50453452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | ベルギー / 連立形成 / 多極共存型民主主義 / 多極共存型民主主義の変容 / マルチレベルガバナンス / 西欧小国の民主主義 / 連邦制 |
研究開始時の研究の概要 |
この申請では、長期化した2019年選挙後の連立形成交渉過程(2019年5月から2020年10月)を中央と地方の連立の「一致」力学の働きに注目しながら検討し、連邦、地域政権ができた要因を明らかにしたい。そのうえで2014年との通時比較により、「同時並行的な連立交渉」が政党の戦略にどのような影響や変化を及ぼしているかを、「一致原則」の成立の程度を見ることで、可能な限り一般的に把握したい。 さらに、これが「多極共存型民主主義の変容」を意味するかどうか、その可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、夏にベルギー訪問がかない、研究者(Dimitri Vanoverbeke, Koert Debeuf)および2014年、2019年の連立交渉の時の自由党党首(結局いずれも自由党から首相を出すことになった)、Gwendolyn Rutten現Aarschot市長にインタビューできたことは大きかった(とくに2014年の交渉については松尾(2016)を参照のこと)。 ただし、そのインタビューから、2014年の交渉については、こちらが考えていたような「垂直的一致原則」に主要アクターが縛られていないことが明らかになった。主要アクターが交渉の際縛られているものは、むしろ「妥協・合意の原則」とでも名付けるべきもので、この点を改めて2024年以降の研究では確認したい。 この知見は「垂直的一致原則」を打ち出したDeschouwer,Krisに対する反論となる以外に、ちょうど別で論じた「多極共存型民主主義の変容論」に対する反論を補強することにもつながると考える。ただし現時点では、どの文脈でどう切り取るかなど見極めたく、もう少し熟慮したい。非常に面白い発想なので、もう少しエビデンスなどをしっかり集めて、論考としたい。 実績としては、このときのヨーロッパ(ドイツを含む)訪問でえた、現状のヨーロッパに対する報告を論じるエッセイなどが多くなった。 ただし円安の影響で、この滞在ですべての予算を使い切ってしまったことは想定外であったが、なんとか自費で滞在したおかげで市長と会うタイミングができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rutten市長との対談は多くを得た。ただし話が2014年の連立交渉で盛り上がりすぎて、市長のお仕事の制限もあり、2019年の交渉について十分時間がとれなかった。しかし、そうであっても近年欧米で流布している「多極共存型民主主義の変容論」に対する新しい反論のヒントを得られたことは大きい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初のテーマについて、また2019年の交渉のロジックを明らかにしたい。 また、「垂直一致原則」に変わる新しい「原則」をもう少し精査したい。可能なら、もう一度Rutten市長へのインタビューを行い、また本年6月の選挙以降、政治がどう動くか、などを見てから、ペーパーを著したい。
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