研究課題/領域番号 |
22K01351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
辻 陽 近畿大学, 法学部, 教授 (70362564)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地方議会 / 議会支配人制 / 新型コロナウイルス感染症 / 地方政府 / 地方選挙 / 政治制度 / 地方自治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,日米両国における地方政府とそれを取り巻く様々な基幹的政治制度に注目し,地方政府における選挙制度(大選挙区制,中選挙区制,小選挙区制かなど)や執政制度(強市長制,議会ー支配人制,理事会制など),あるいは中央地方政府(州・自治体)間の権限関係の違いが,地方政府の政策決定にどのように影響を及ぼしているかについて検討を行う。また,COVID-19が広く影響を及ぼす前(平時)と後(非常時)で,政策決定のあり方がどのように異なったかについても分析を実施する。特に,米国における多様な政治制度の検討から,日本における二元代表制や地方議会に対する示唆を得ることとしたい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、単著論文「アメリカ小規模自治体における議会過程―COVID-19の影響とそこからの復帰」(岩崎正洋編著『コロナ化した世界―COVID-19は政治を変えたのか』勁草書房、2023年所収)を発表した。本論文では、アメリカ・カリフォルニア州にある人口約2万人のオールバニー市議会において、新型コロナウイルス感染症が広がる前と後とで、取り扱う議題に変化が生じたかどうかを明らかにした。 同市は議会支配人制をとるとはいえ、政策の方針を決める権限は市議会にある。他方で、議員報酬が月額30ドルにとどまり、定例会は毎週第一、第三月曜日の夜7時から10時半(延長しないかぎり)であるため、取り扱える議題にも限りがある。そこで、同市議会の毎回の定例会の流れのなかで、提示(Presentation)、(特定課題についての)公聴(Public Hearings)、継続議題(Unfinished Business)、新規議題(New Business)として議論された議題を、「法規改正」、「契約」、「財政」、「政府・組織」、「意見」、「都市計画」、「福祉」、「将来構想」の8つに分類して、その変化を見た。 分析の結果、感染症拡大により「都市計画」に関する議題が大きく減少したあと、コロナ後の世界に復帰するに従い、議事運営も含めてコロナ前の状況に概ね復帰したことを確認した。また、COVID-19に関する議案が多い「福祉」に関する議題について、反対意見が出ることは比較的少なく、テナントや家の借り主の返済猶予を店舗もしくは家のオーナーに認めさせる議案(とその期限を延長する議案)については、いつも全会一致で可決されていたことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度内の議会支配人制についての論文執筆を予定していたが、他の原稿の執筆もあり遅延している。また、共著者の執筆遅れにより、公表が遅れている原稿も存在する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度には、上述の議会支配人制に関するレヴュー論文の執筆・公表を予定している。また、これとは別に、アメリカの小規模自治体議会の運営に関する論文も執筆・公表したいと考えている。なお、この準備のため、2023年3月に渡米してオールバニーの現職・元職の市議会議員にインタヴューを行ったほか、2024年8月に再度渡米して、カリフォルニア州の郡委員会委員へのインタヴューも実施予定である。
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