研究課題/領域番号 |
22K01358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
玉村 健志 順天堂大学, 国際教養学部, 先任准教授 (90616004)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 脱植民地化 / ベルギー / コンゴ / 国際関係史 / 紛争 / 脱植民地化史 / ヨーロッパ・アフリカ関係 |
研究開始時の研究の概要 |
コンゴ民主共和国は広大な領土を持ち、紛争はしばしば周辺諸国にも波及するなど、中央アフリカにおいて重要な地位を占めてきた。それゆえに、植民地期のみならず「独立」後も欧米諸国に翻弄される歴史を辿ってきた。しかし、旧宗主国ベルギーの資料公開が遅いこと、小国ベルギーの事例を研究する脱植民地化史の研究者が相対的に少ないこともあり、「独立」後のこの国のあり方を規定した脱植民地化の過程、特にベルギーの政策については未解明な点が多く残されている。本研究は近年機密解除された史料を基に、「独立」までの過程と「独立」後に発生した紛争を通じた、ベルギーによるコンゴの脱植民地化とその影響を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、「独立」(法的な意味での主権の移譲)の前後を通じて欧米諸国に翻弄されてきたコンゴ(現コンゴ民主共和国)の脱植民地化過程を探るものであり、中でも最も解明の進んでいない旧宗主国ベルギーの脱植民地化政策を分析することを目的としている。今年度は昨年度に引き続きベルギーで資料収集を行い、新たにウィニー元外相の史料も入手することができた。また、新たな史料の情報についても入手でき、来年度収集する予定である。 今年度は昨年度に渉猟した史料を基に、ベルギー政府がいかにして権益の維持をコンゴの憲法と二国間条約に書き込んだかを分析し、論考を執筆した。これまでのコンゴ脱植民地化史研究では、コンゴ人たちによる植民地解放運動に比重が置かれ、ベルギー政府がいかにして主権移譲後にも影響力を維持しようと試みたかという点については、解明が充分ではなかった。ベルギー政府が具体的にどのようにしてコンゴへの「独立」付与を名目的なものに留め、実質的な影響力を維持しようとしていたかを解明する一助となったのではないかと考えている。 昨年度の渡航で知己を得た先行研究の著者に、今回の渡航時に時間を取って頂くことができ、ベルギー国内にある史料について情報を頂くことができた。意見交換もでき、論文執筆時にはご助言を頂けるとのお言葉も頂き、交流を深めることができた。今後の研究の進展につなげていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主権移譲までの時期について、当初想定していたよりも史料の渉猟に時間がかかることがわかってきた。複数の資料館に同じような史料が散在しており、新たな史料がないかどうかを確認するだけでも時間がかかる。もう少し滞在期間を延ばしたいところだが、記録的な円安でそれも難しい状況にある。 他方で、今回の渡航で史料を収集しきれなかったことは、当初想定していたより多くの史料の存在がわかったことにもよる。上述の先行研究の著者のご助言により、渡航前には知らなかった資料について情報を得ることもできた。この点については嬉しい誤算である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、ベルギーからコンゴへの主権移譲の政治的法律的観点に焦点を当てて論考を執筆する中で、経済問題の処理はかなり複雑で、別に論じる必要があることがわかった。このため、今春の資料収集では、「経済円卓会議」に関する資料を中心に収集した。来年度はこの点について論文を執筆したいと考えている。また、今回の渡航でも収集しきれなかった史料、新たに存在がわかった史料などを渉猟すべく、ベルギーに渡航する予定である。
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