研究課題/領域番号 |
22K01361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
上地 聡子 明海大学, 不動産学部, 講師 (40580171)
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研究分担者 |
中村 春菜 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (80846866)
コンペル ラドミール 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (90528431)
高橋 順子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (90555434)
波照間 陽 成蹊大学, アジア太平洋研究センター, ポストドクター (80980614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 戦後沖縄チャイナ部隊 / 米軍余剰物資 / 中華民国憲兵隊 / 中華民国行政院物資供応局 (BOSEY) / 米兵二世 / 米中売却協定 / オーラルヒストリー / 地域史 / 中琉関係史 / チャイナ部隊 / 沖縄 / 冷戦 / BOSEY |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は(1)敗戦初期の沖縄から米軍物資を搬出していた中華民国人員「チャイナ部隊」の実態と地元沖縄に対する影響、およびその物資搬出の根拠となっていた(2)米中「売却協定」 締結の外交プロセスとその国際関係史的な意義、この2点を明らかにする共同研究である。 「チャイナ部隊」は沖縄県史に記録されておらず、「売却協定」が締結された太平洋戦争終戦直後の米中(米華)の関係性も研究上の空白部分となっている。 沖縄「チャイナ部隊」と「売却協定」の解明によって、日米の枠組から解放された新たな沖縄戦後史を描き、冷戦初期東アジアにおける米中(琉)国際関係史を再考するところに、本研究の歴史的・現代的意義がある。
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研究実績の概要 |
2023年度は、①中国側資料の調査と集積を進め、②米国での米軍資料の調査を実施した。またこうした調査結果をメンバーで定期的に共有しつつ、③戦時在外余剰資産の処分に関する先行研究(論文)について勉強会を開催した。 ①については2022年度から台湾での資料調査を依頼している研究協力者が継続して作業を行い、中華民国行政院に関連する資料、特に物資供給局の資料の調査が大幅に進んだ。また「沖縄保管整理事務所」の資料や「憲兵司令部」の勤務日誌ファイルの収集と確認も進めている。台湾での資料調査の重要性は、沖縄に駐留していたチャイナ部隊の活動を、中華民国の行政組織の中に位置付けることを可能とする点である。台湾で確認されている一次資料から、太平洋に展開していたチャイナ部隊の情報も明らかになってきた。 ②については、9月にグループ研究メンバー3名が米国にて資料調査を実施した。NARA(ワシントン)では国務省が編纂した海外剰余物資に関する報告書の完全複写を行い、サンゼルスのSEA BEEミュージアム(アメリカ海軍工兵隊博物館)でチャイナ部隊が駐留していた当時の米軍資料を調査した。ロサンゼルスのフーヴァー研究所では以前インタビューをした中華民国憲兵の資料整理を行なったアーキビストとコンタクトを取り、チャイナ部隊研究の報告書を提供し、将来的な研究協力の布石とした。 ③については、中華民国側と米国側の調査グループが資料を読解する上での共通理解を深めるため、チャイナ部隊が収集していた在外余剰物資/資産に対する戦時中から戦後にかけての米国の政策変遷に関する先行研究論文を全員で読み、情報の共有を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は海外での資料調査を大幅に進めることができた。台湾での資料調査は2022年度に引き続き、一次資料の発掘が進み、対象も行政院物資供応局 (BOSEY)のみならず憲兵隊の勤務日誌や「沖縄保管整理事務所」など横の広がりがみえるのは概要にも書いた通りである。本科研プロジェクト規模で期待できる台湾での資料調査は2023年度でほぼ完了したといえよう。 米軍側資料班も、米国での資料調査が実現し新しい資料を入手した点で進捗があった。また資料の所在調査も進めることができた。さらにフーバー研究所の学芸員と連絡を取ることができた点で、今年度までに期待した進捗は達成できたと考える。 沖縄側資料班は、高齢者の聞き取りを進めることはできなかったが、チャイナ部隊について触れている回顧録や新聞投稿記事の収集が進められている。またチャイナ部隊が駐留していた同時期の伊江島で起こった伊江島米軍弾薬輸送船爆発事故(1948年8月)を調査している同島出身の在野の研究者と知り合い交流する機会をえた。沖縄での聞き取り調査を進める上でこのような人のつながりは重要であり、この点は進捗として認めることができる。 二世・物資資料班は、メンバーが複数の班を兼任しているため、上記の調査や資料整理にエフォートを割くことになり、実質的な進捗がみられなかった。
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今後の研究の推進方策 |
去年度までに必要な海外資料収集作業を終えたので、今年度は収集した資料の整理・翻訳・読解作業とその共有が中心的な活動になる予定である。 中国側資料班は、これまでの台湾での資料調査によって得られた一次資料を整理・分析し、定期的にグループで共有する段階に移る。同時に米国フーバー研究所の学芸員との連絡、台湾・中国語圏でチャイナ部隊に関心を持っている研究者との連絡を維持し、国際共同研究の発足と国際会議の開催を模索する方向で研究・調査を進める。 米軍側資料班は、2023年度までに入手した米軍資料の読解を進める。具体的には戦後に国務省が米国議会に提出していた「Report of Congress」のうち、太平洋方面での在外余剰物資処分に関する箇所を年代ごとに整理する作業、および国務省発行のThe History of Foreign Surplus Propertyを抄訳し、関連箇所を他の資料と付き合わせる作業を進める。また、中国側資料班メンバーと連携して米国フーバー研究所との連絡および情報共有を行う。 沖縄側資料班は、連絡のつくタイミングでできるだけ高齢者のインタビュー(オーラルヒストリーの収集)を実施する。ただし、相手方の事情やタイミングなどによりそうした聞き取りが設定できない場合は、中国側資料班または米国側資料班メンターとしての資料整理の作業を優先させる。 二世・物資資料班は、物資資料の方面に重点を置いて調査を進める。在外余剰物資の処理に関わった民間企業について基礎的な事実の調査を進める。そうして得た情報を、中国側・米国側の資料と付き合わせ、在外余剰物資の処理の流れを確定させる作業を行う。
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