研究課題/領域番号 |
22K01369
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
楠 綾子 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60531960)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 対日講和条約 / 日本外交 / 戦後和解 / アジア太平洋 / 冷戦 / 国際秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
5年の期間をかけて実施する本研究は、国内外での史料調査・収集とその分析作業を軸として進められる。対日講和条約案の検討作業、日本と連合国または連合国間の交渉に関する文書の調査・収集を、日本および主要な連合国について実施する。これに並行して、収集した史料をもとに、講和条約の各条項、とくに在外日本資産の処理や賠償・請求権、貿易など経済関連条項が、実際にどのように解釈され、実施されたのかを分析し、日本の国際社会への復帰、「西側」諸国との協調関係の構築がどのように進められたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
まず、昨年度までの研究成果をまとめた論文「多数講和と寛大な講和――日本の構想と選択」(川島真・細谷雄一編『サンフランシスコ講和と東アジア』東京大学出版会、2022年4月)が年度初めに刊行され、今年度はこの論文の内容に基づいた、さらにこれを発展させた口頭発表が中心となった。第2回国際政治史研究会(日本国際問題研究所、2022年7月)での研究報告、および日本国際問題研究所公開講座「サンフランシスコ講和とアジア:現代からの視座」(2023年1月)などである。 第二に、講和に関する外交文書(外務省編『日本外交文書』各号)や初代宮内庁長官田島道治の記録、『昭和天皇拝謁記』(岩波書店、2022年)などを調査し、天皇が講和条約・安保条約をどのように理解していたのか、戦争責任についてどのように考えていたのか、講和に際して国民に対してどのようなメッセージを発しようとしたのかを分析した。その成果は、「戦後保守における歴史と伝統――象徴天皇制、平和的発展、近代」(増田弘編『戦後日本保守政治家の群像――自民党の変容と多様性』ミネルヴァ書房、2023年6月刊行)に反映されている。 第三に、講和・独立時の日本の選択がいわゆる「吉田路線」として日本外交の基調となる一方で、この外交路線がいかなる価値を追求しようとしていたのかを検討した。この研究はより長期的な視野に立ってさらに研究を深める必要があるが、これまでの考察は、2022年度日本国際政治学会研究大会部会1「日本外交における「価値」の再検討」(2022年10月)における口頭発表「戦後日本外交と「価値」――吉田路線をめぐって」にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対日講和条約の成立過程については、日本側の史料調査およびその分析はおおむね終了している。連合国側についても、米国を中心にある程度史料調査と分析を進めている。日本の西側世界との関係構築の過程を検討するためには、1950年代の英連邦や西ヨーロッパ諸国の対日政策について考察を進める必要があるが、現時点では先行研究の整理の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
連合国軍捕虜への補償や日本の在外資産の処理、あるいは日本の国際経済システムへの参加など、講和後に西側諸国との間で課題となった諸問題に関する史料調査を、米国や英連邦諸国などで実施する。同時に、対日講和条約が近代の国際政治のなかで、また東アジア国際関係のなかでどのような意味をもっていたか、近代以後のさまざまな講和条約と比較検討しつつ考察を深めたい。
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