研究課題/領域番号 |
22K01376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
倉科 一希 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (00404856)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 全欧安保協力会議 / レーガン / 冷戦 / 新保守主義 / アメリカ合衆国 / ドイツ問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、デタント期から冷戦終結に至る時期に焦点を当て、当時のアメリカ政府がヨーロッパの国際秩序、とくにドイツの将来をめぐる「ドイツ問題」をどのように理解していたのかを明らかにする。1950年代から60年代にかけて、西ドイツ(当時)の将来に不安を抱いていたアメリカ政府であったが、とくにドイツ統一時の対応を見る限り、同じような不安が見られない。これは、依然として「ドイツ問題」を警戒していた西欧諸国と大きく異なっている。本研究は、アメリカの「ドイツ問題」への理解の変容を、国内政治の変化、とくにいわゆる新保守主義の台頭との関係に注目して、解明する。
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研究実績の概要 |
当該年度については、2024年2月にアメリカのフーヴァー研究所図書室およびレーガン大統領図書館において史料調査を行った。その目的は、CSCEに関するアメリカの保守派およびレーガン政権の見解を検討することにあった。 フーヴァー研究所において、1970年代後半から80年代前半の保守系団体による対外政策上の見解を検討した。これらの団体の議論を見る限り、CSCEやヨーロッパ全体の状況は必ずしも議論されておらず、どちらかと言えばアメリカの国内問題に関心が強い状況が確認された。 レーガン政権についても、CSCEに対する表立った批判は見いだせなかった。先行研究でも述べられているように、CSCEにおいて東側陣営の人権侵害を批判し、この組織を広報外交上の手段として活用する見解が広がっており、したがって政権の評価は必ずしも低くなかった。本研究は、先行研究によるこの見解を確認した。さらに、同政権と国内保守派団体の意見交換について可能な範囲で確認したところ、CSCEに関する批判的なトーンの議論が見当たらないことも確認できた。 また、これらの文書を確認した結果、保守派の議論のなかでヨーロッパ情勢に関するものが少なく、関心の薄さを示している可能性も浮かんだ。2024年にさらなる史料調査を行うことで、この仮説の検証に努めたい。 また、本研究の成果をこれまでの研究とあわせて研究論文一点を発表し、さらに邦文および英文図書の一章を執筆した。図書の出版は、2025年の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として、一年目の研究の遅れを十分に回復できていない。史料調査に割ける時間が限られるため、ある程度はやむを得ない状況である。とはいえ、フーヴァー研究所図書館およびレーガン大統領図書館における史料調査によって重要な史料を確認し、ある程度は回復が可能になった。 また、今年度の史料調査から1980年代になると保守派がCSCEを必ずしも否定的に見ていないことは確認できたものの、この認識がいつごろ確立されたのかは確認できなかった。2024年度には史料調査をさかのぼって行う予定であり、この問題も解明できると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はアメリカにおける史料調査を進めつつ、先行研究のさらなる分析やすでに取得した史料の読解を進め、CSCEを中心にヨーロッパ情勢に対するアメリカの保守派の見解を明らかにするよう努める。とくに本年度は、保守派が政府の政策に対する批判者として活発に行動した1970年代中ごろから後半に焦点を当てて史料調査を行うため、保守派の立場がより鮮明に表れることが期待できる。ただしこれらの言説は、政府の政策を批判するために必要以上に先鋭なものになっている可能性があり、その活用には注意を要する。 また本年度中に、研究成果をまとめた研究論文の発表を計画している。
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