研究課題/領域番号 |
22K01378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
熊谷 奈緒子 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (10598668)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | CARICOM(カリブ共同体) / CARICOM Ten Point Plan / 歴史的不正義の是正 / イギリス / オランダ / 変容的救済 / カリブ諸国 / 補償 / 奴隷制 / 植民地支配 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、奴隷制に対するカリブ共同体(CARICOM)諸国の賠償請求運動の特徴を、「変容的救済」の概念で明らかにする。
「変容的救済」とは、懲罰的責任追及よりも、再生産され続ける不正義の制度や言説を是正し、被害側の尊厳を回復し、和解するという考え方である。「変容的救済」の仕組みは、不正義の制度の改革である「脱植民地化」、多様な被害主体の改革への関与の「脱中心化」、被害者の自主性回復の「脱疎外化」からなる。
2014年からの賠償請求運動は、上記の仕組みを通じて、奴隷制・植民地支配という歴史的不正義の是正と和解の効果をもたらしつつある。本研究は、その変容的救済が受ける国際政治経済の影響も明らかにする。
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研究実績の概要 |
カリブ海諸国が、カリブ共同体(CARICOM)という地域機構として、かつての奴隷貿易、奴隷制、植民地支配に対する謝罪と補償を、英国やオランダなどに求めている現状と関連議論を追い、整理した。 これまでの議論としては、歴史的不正義の是正の問題提起は、援助要求の外交カードの表れにすぎないという議論がある。また、現在のカリブ諸国における発展途上や貧困は、奴隷制のみが原因とはいえないという議論や、CARICOM諸国社会内の声も一枚岩ではないなどの指摘もある。 しかし一方で、CARICOMが公式謝罪や賠償を求めて2014年に発表した「補償的正義の10項目計画」は、様々な派生的な動きを非政府主体や個人、そして政府にも及ぼしていることが明らかになった。2015年にはInstitute of the Black World 21st Centuryによる補償要求の国際大会が開催された。またSlavery Past Dialogueの諮問機関が作成したChains of the Pastは、2022年12月にオランダのルッテ首相が、奴隷貿易と奴隷制を「人道に対する罪」と捉え、オランダのかつての奴隷貿易と奴隷制について謝罪した契機となったと考えられている。BBCのジャーナリストであるLaura Trevelyanは、2023年に奴隷の子孫としてグレナダに謝罪をし、謝罪要求活動(Heirs of Slavery)に参加するようになった。 このような動きは、歴史的不正義の是正の核心をめぐる議論にも発展している。英政府は、補償よりも構造的な不平等の問題へ取り組むとする。これには批判もあるが、「変容的救済」の考えに沿った根本的問題解決になりうると考えられると本研究者は位置づける。不平等の再生産を生む制度や言説の改革を通じてこそ正義は回復され、被害者と子孫の尊厳回復につながり、貧困は解決し得るということである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、これ以前の研究のフィールド調査が今年度にずれ込んだために、カリブ海諸国への現地調査に行くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
カリブ海諸国への現地調査、聞き取りを行い、学会発表でのフィードバックを通じて、理論、実証両方における研究強化を目指す。
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