研究課題/領域番号 |
22K01379
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20419253)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 金融改革 / 国際金融ガバナンス / 中国 / 国際海外協力 / 国際通貨基金 / 国際金融レジーム / 覇権構造 / 国際関係理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、覇権構造の転換期にあって、中国の台頭により国際金融レジームにおけるIMF の重要性は薄れるのか、それとも他に代替えの効かない国際機関として、今後もIMF は国際金融レジームの中心であるのか、IMF の可能性と限界について、理論的、実証的に研究を行うことにある。 理論的には前述のように国際関係の理論と覇権構造の変容との関係を検討し、国際金融レジームとIMF に適用して検討する。実証的には、中国・米国・日本等主要国のIMF 融資プログラムを介した金融政策への影響の変化を統計分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、中国の台頭と米国の衰退に伴い現在の覇権構造が変容し、国際システムの大きな変動期を迎える中、国際通貨基金(IMF)は、現在の米国中心の国際金融レジームにおけるように、今後も中心的役割を果たし続けることができるであろうか?に関して理論的、実証的に検討を行うものである。2022年度は、金融改革データベースのアップデートを行うために、リサーチ・アシスタントを雇用して文献収集を行った。金融改革データベースは、金融改革7分野の政策について指標化したものであり、現在のデータベースは100経済について、1973年または国の独立時から2013年までコード化してある。これを115か国に拡大し、また100経済については2020年までコード化するために、各国のIMFスタッフレポートや其の他IMF文書を2014年以降分集めダウンロードした。拡大する15か国はラオス・カンボジア・ミャンマー、カタールのほか、サブサハラアフリカを中心とすることに決めた。アップデート自体は取り掛かり始めたところである。 また、変動期の国際金融ガバナンスを検討する上で欠かせない、中国の影響を検証するために、海外の研究者が収集して公開している、中国の海外協力の資金フローに関する、世界各国へのプロジェクト別のデータ別を用い、世界各国での中国の海外協力の資金フローの年次別のデータとして変換し、中国から途上国各国への開発協力資金の毎年のフローを、いわゆるODAと借款のフローにわけ、金額・プロジェクト数について、年次毎の変数を作成した。これらを用いて中国のIMF金融支援プログラム参加への影響を検討し、国際開発学会で発表した。結果としては、中国からの海外協力資金を多く受ける国はIMF金融支援プログラムを有意に受けないことが計量分析により示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は金融改革データベースのアップデートに関しては、リサーチ・アシスタントを雇用し、100経済地域に関しては、2014年から2022年までの、拡張を試みる15か国に関しては1973年または独立した年から2022年までの、金融規制改革を含む金融改革の情報をもとにコード化する上で必要な情報を収集するために、IMFによる各国のカントリーレポートを初めとし、その他の利用可能なドキュメントを集めた。拡張予定の国々関しては、実際に集めることができたのは、1994年から2022年までのみであった。まずは、これらの情報に基づいて、金融データベース改革のアップデートにとりかかることができた。しかし、まだ金融企画のアップデート自体は、仕事に取り掛かったところである。もっとコード化を進めるのが望ましかったが進んでおらず、これに関しては進捗が遅れていると言える。また、2022年モロッコのマラケッシュで開催予定であったIMF年次総会は、COVID-19のためオンラインでの開催となったため、オンラインでの公開視聴を聞き、情報を得たのにとどまった。
その一方で、中国からの開発協力資金の途上国へのフローがIMF金融支援プログラムの利用にどう影響が与えるかについて、日本や米国とも比較する形で計量分析を行った。そして結果を国際開発学会にて学会発表を行った。当初は中国、日本、米国の金融改革に与える影響をみる予定であったが、金融改革データベースの作成に時間がかかることが予測されたため、別途IMFプログラムへの参加の影響をまず見たものである。上記以外の結果として、しかし弱い有意差ではあったが、中期的に、中国からの借款の増加が、IMFへの参加を増やす効果もみられた。
これらの遅れた部分と進んだ部分との両方の状況を総合的に勘案し、今年度はおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年は、金融改革データベースアップデートを集中的に行う予定である。そのためにリサーチ・アシスタントを雇用していく。また、計量的なデータのアップデート用の文書の情報収集に留まるのみでなく、IMFの加盟国に対する対応の変化を、IMF に金融支援を受けた国、受けていない国の言説の違いに関する分析を行うために、資料として系統立てて収集してゆく。中国から海外協力資金を多く受け債務超過が心配される国、実際に債務超過となってIMFの金融プログラム支援下にある国、IMF支援プログラムを受けていない国について資料を収集してゆく。 また、2023年は、中国からの開発協力資金の途上国へのフローがIMF金融支援プログラムの利用にどう影響が与えるかについて論文を完成させ、日本または海外での査読付きの学術雑誌に投稿する予定である。
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